赤ちゃん歩き 腰を楽にするために

このブログで赤ちゃんの「ハイハイ」や「四つ這い」歩きはずいぶん取り上げていることに気がつきます。
それは腰の痛みやだるさを楽にする一番簡単な方法だからです。また反りポーズ、コブラのポーズを楽に作る方法でもあります。

akatyanhaihai

ところがです、形はまねているのですが、赤ちゃんが進化の過程でハイハイをする動きに全くなっていないのです。赤ちゃんはいずれ四つ這い、そして立ち上がりますがそのためにこのハイハイはなくてはならないのです。その前は、うつぶせになって手や足、腰を一生懸命に動かしていたはずです。それがあるとき右の尻を上げると腹に力が入って右ひざを床に押すことができました。すると前進するではありませんか。左の尻を上げたら同じく膝が尻の方向へ上がって床を押してみるとまた前進しました。これは面白いと交互に尻を上げて膝で床を押して前へ進みだしたのがハイハイだったのです。

ただ形だけをまねた動きではなく、繰り返し自然からでてきた動きを行うことは体全体の機能を変え、生活の中での不自然さの解消に役立つと思います。腰が痛くて、ハイハイで結果が出ないとき、もう一度自然な動き、進化というプロセスにチャレンジしたらいかがでしょうか。
参考:https://mizunoyoga.com/blog/?m=201009<コブラのポーズ再考>

生姜シップ

生姜シップは痛み腫れ物の万能手当の一つで医薬が発達していないときは家庭で手当をするときによく使われていました。今でも食養生には欠かせない方法です。
その生姜シップでタオルを絞るときにねじるということで思い出しました。私はねじりのポーズを指導するとき、背骨がのびる感じがありますかと問いかけています。ポーズをラジオ体操にしないためには感じることが大切になります。単なる筋肉運動にするのではなく筋肉の大切な機能は「感じる」ことを意識することでいっそうの動きが得られます。「ねじるとのびる」の感覚を実生活ではゴムもそばもねじってのびるなど、例はたくさんあります。 続きを読む

くつろぎのポーズについて

ヨガのポーズを作り終ると次はくつろぎのポーズをします。
ただ横になって寝るだけですが、本当に寝てしまうと今まで作っていたポーズの効果を引きだすのが半減します。
仰向きになって一定の公式を使ってリラクセーションを深めていきましょう。
私たちの心身は神経でコントロールされています。健康なのはその神経が緊張したり、弛緩したりしてバランスをとって心身が安定しているからです。
それでは始めましょう。
続きを読む

心の成長を支援するセミナーを受講して


私は本屋やネットなどで「コーチング」という名前は知っていました。しかしそれは自己啓発セミナーの一種だと思う程度でした。そしてまた、一昔前はそのようなイベントがたくさんありました。その当時の内容は玉石混合でした。
しかし今回は講師が長く水野ヨガ学院に来られている方であり、熱心にカウンセリングの勉強をされ、たくさんの資格を取得されていることもあって、雑談を交えて心の在り方をよく話をしたり、教えられたりしていました。
ヨガと心の関係はとても大切なことであり、沖正弘師はヨガを菩薩行と言われたくらいです。
講師と話していて、現代の八方ふさがりの中、まだまだ自ら不幸せを演じる人が多いことを知らされ、私自身の学びにもぜひコーチングセミナーを開催してもらうように依頼しました。
私が思うのに、今の世の中は人間関係が希薄、高度に発達した管理社会、利益優先の社会、差別社会の出現などこれからも大変な社会の中で私たちは生きることを強いられています。私がヨガに関わった30年、40年前の時代は高度成長時代の社会の変革期でした。おそらく現代はそれ以上に社会不安や不景気、世界のグローバル化などが相まってより厳しいかもしれません。
しかし自分の心を正面からとらえて、ものの見方を変え、気づきによって「ネガティブ思考を解放することができる」ことはそれほど難しくないみたいですし、そのためには不幸を演じる癖直しが一番大切なことだと思います。
授業の概要は以下のように進みました。
それぞれが自己紹介をしました。参加した目的などを話してもらいました。そして講師はコーチングの基本を説明しましたが、講師は特に説教的な話はなく、人の話を聞いてください。そして自分のいいところを話してください。 また自分はどれだか周りから支えられているかを話してください。人の話を聞き、又感銘を受けた時は拍手してください。というコメント程度です。
次に物語を読んで「この人の一日はどうとらえますか」ということを自分の考えを話してくださいと提案です。
簡単に物語を再現してみると以下のようになります。
久しぶりの友人に会うため札幌駅の地下にある店で13時に会う約束をした。土曜日に会うことを心待ちにしたが地下鉄は事故らしく途中で止まってしまった。自宅から地下鉄駅に向かうとき知り合いのおばあさんの大きな荷物を持ったため、時間は遅れ気味であった。電車が一本早かったら事故に遭わなかったかもしれない。
途中の駅を出てタクシー乗り場に行ったが雨が降っていて乗り場は混雑していた。友人に前に会ったときは携帯が無かったので待ち合わせ場所がわからないこともあり1時間もかかったことを思いだす。家を出るとき家人に傘を持っていくように言われて持ってきたことはラッキーだった。傘をさしてタクシーを待つ。友人には遅れることを連絡した。そのうちに携帯に登録していた交通情報サービスの配信で地下鉄が開通した連絡を受けた。タクシーに乗らないで地下鉄に戻って札幌駅に着く。20分くらい遅れた。途中で急いで走ったので足をひねってしまって転倒した。すごい痛みで歩くことはできない。近くにドラッグストアがあった。見知らぬ人が肩を貸してくれて連れて行ってくれた。湿布して薬も飲むが痛みが治まらないので、友人にドラッグストアまで来てもらう。彼と話をして病院へ行くことにした。開いている病院をドラッグストアの店員に聞いて、友人の肩につかまりながら病院へ行くが医者に骨にはひびがはいっていないといわれて安心した。夜の10時までレストランや喫茶店で話をした。友人と話してストレスも発散した感じだ。夜には病院からもらった痛み止めのせいか痛みもなくなっていた。
今日はどんな日だったかと思いだした。
「幸せ・不幸せ」を参加者全員でいろいろな面から話を出しました。初めは不幸と思っていたことが実はそうではなく、表裏一体なのだということに気がつかせ立という意見に終始しました。たとえばケガをしたけれど、親切な人に助けられたり、薬局が近くにあったり、土曜日に病院があったり、骨が折れていなかったり、充実した友人との会話であったことなどは見るところがどこなのかによって気付きが異なってくるという内容です。
このセミナーは教えてもらうセミナーではなく、自分が発言して気がつき、そして他の人の発言で、また気がつくというセミナーでした。講師はほとんど講義らしいことはしないことが特徴でした。

このセミナーは幸せ・不幸は表裏一体であることに気がつくことで、「ネガティブ思考」の手放し方は意外に簡単だと気がつくという趣向でした。
最後に講師は以下の宿題を2週間行ってくださいことを受講生に依頼されました。思考の癖を直すには2週間という時間が必要だそうです。
「毎日自分をほめる」       (それは自分への信頼感です。)
「毎日自分は支えられている」 (それは周りへの信頼感です。)

これからもこの2点を毎日問い続けてください。それは自分がネガティブ思考を手放す癖がついたときに幸せアップになることです、というところでセミナーは終わりました。

重さを意識して動いてみよう

 ヨガのポーズや日常での生活の中でどのくらい重さを意識しているでしょうか。
 一番わかりやすいのは歩いているときだと思います。そのとき足の振り子を意識すると歩きやすいのがわかります。当然、そのとき腕は振り子になって足の動きとバランスをとっています。振り子は物体が位置エネルギーから運動エネルギーに変わるときの動きですから楽な動きになるのです。

 犬や猫、野生の動物は歩く時、足首から先が垂れるのを観察できます。足首の力が抜けていると重さで手先、足先は垂れます。その脱力は肩や腰に現れ、次の力強い大地を押す力(収縮力)に変わるのです。

 ネコのポーズでは丸ネコで背骨を持ち上げ、反りネコで背骨が垂れて背中を緩めていますが、必要なときに早く強く動くことのできる、背骨の力の源になっていると思います。

 次は人の姿勢についてですが、癖や筋力不足、精神的な思い込み、孤立感などで頭が垂れ、肩や背中が丸くなります。その姿勢は頭や肩などの上半身は重さに耐えられなくなって首肩の緊張は腰にも負担を強い、膝など全身に現れます。私たちの体は人類始まって以来、力強い筋肉が存在しているのです。
 私たちは100万年以上前に直立歩行に移行し30万年には知能が発達した現世人類になったといわれています。その過程ではまっすぐに立つための筋肉構造が出来上がりました。その筋は抗重力筋といって脊柱起立筋や腿の筋肉、お尻の筋肉、ふくらはぎの筋肉などは姿勢を保つために、緊張していても疲れない筋肉であり、それに反して、腕や背中の筋肉は大きなパワーがあってもすぐ疲れてしまうのです。背中を丸くして肩や背中に緊張したままでは耐えられないようになっています。

 ヨガのポーズをつくるときも、背すじ(特にうなじ)を伸ばして背骨をまっすぐにすると肩や腰はやわらかく動かすことができます。ヨガクラスで気になるのは頭を下に垂らしてしまう無意識の動きです。頭を垂らすと頭の重さ(体重の10%、5-6キロ)を支える肩の筋肉が緊張して動きも悪くなり肩の不快にもつながります。ヨガのポーズのとき、うなじを伸ばすことをしていると体は軟かく楽に動かすことができることが多いです。 

 呼吸も肺の重さの関係で、胸が立っているとき、横になっているとき、逆位になっているときで、肺の位置によって、吐く息、吸う息が変わることを理解しましょう。胸が直立に近い姿勢(立つ、座る)のときは吐く息は長く、吸う息は短くなります。しかしその逆にするとき、たとえば下向きの犬のポーズやウサギのポーズ、肩立ち、スキのポーズのときその吐く吸うは逆転します。(すなわち吸うのは楽で長い、吐くのは短い)日常で胸を逆にしていることはほとんどありませんが、喘息など気管支が細くなっている人は吐く息が苦痛となるので、このポーズを作ると、より一層つらくなるはずです。またそのような疾患のある人で発作が起きている人は起座呼吸といって横になっていられなく、座って息をすることになります。横になって寝られない日が続くということも聞きます。

Heringu_breath_2

 肺の逆位について写真を参考にしてください。逆位のとき胸郭内の肺胞は重さで下に、すなわち喉の方向に垂れています。吸う行為は肺胞が持ち上がります。空間がある限り、圧力差(肋間筋、横隔膜の筋力)で膨らみます。吐く時は肺胞が重さで下に垂れているのですぐつぶれて十分吐くことができないことになります。

 背中や腰の緊張をとる方法としてあお向きで膝をかかえたり、膝を左右に倒す方法があります。
 もっと効果的なのは骨盤を前後に動かして、あごの連動性を利用する方法です。すなわち、それは小さい微妙な動きですが尾骨を床につけるとあごが引ける、尾骨を床から離す動きをするとあごが上がるという動きです。この方法のポイントは頭の重さが関係してあごが出たり締まったりすることで背骨の周りの筋肉が緩むのです。この動きをした後は背中や腰が床に着いている状況は背中腰の筋肉が緩んで骨そのものの重さで沈んでいることになります。

Atama_sebone

またうつぶせの弓ポーズからあお向きの割座へ回転する方法ですが、これも頭の重さであごを出して首の緊張をなくして腰を緩めることで胴体を回していきます。この動きを楽にできる程度の腰痛であれば、この動きを行ってみると腰の痛みが軽減することがあります。(痛いことをすると悪化すること間違いありませんので注意してください。)

Kaiten1 Kaiten2

このように私たちは重さのある星に生まれ、その重さに適応できた生物のみが生存を許されたことになります。
重さを意識した動きは滑らかで、気持ちよく、美しく、疲れないのです。

動画の紹介

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいします。
さて、年末にビデオを撮りました。とてもこのブログに載せるに耐えられない代物ですが話題提供として、紹介させていただきます。
Pawahuru
タイトルは「体を活性化してパワフルになる」です。
簡単に動きの概略を紹介しますと、以下の通りです。
1. 赤ちゃんのハイハイ歩きをその場でおこなって、腰回りを強化、柔軟にします。
   赤ちゃんの発達は動きが脳の発達につながるので気分を変える意味でも素晴らしい動きです。
2. よつばいになってネコのポーズ、伸びネコのポーズです。背中の柔軟を期待しています。
   普段、猫背になっていませんか、肩こりは首にも腰にもエーキョウします。
3. うつぶせになってコブラのポーズのアプローチ動作に入ってきます。腰が一層柔らかくなるためには首の動きが欠かせません。
   年とともに柔軟性が衰えるのが背中です。精神的にも肉体的にも重いものを背負っているのです。
4. 弓のポーズのアプローチから仰向き割り座のポーズを作ります。足の腿の前面を伸ばすのは男性にとって拷問みたいですが、うなじ周りや背中周りをケアすることでかなり楽になると思います。
   この辺りの連続ポーズは体全体の修正につながる動きです。弓から割り座を作る動作ができればいいですね。
5. 魚のポーズはうなじをゆるめ、腰、背中をゆるめるうってつけです。
   このポーズもポイントは首です。首は骨も小さいので、ムチ構造で考えると筋肉もしなやかに動くのが良いです。
6. そして最後はアーチのポーズで決めるのですが、頭を床につけるだけでもいいですよというのが画面で訴えているのですがわかるでしょうか。これはチャレンジです。
パワフル動画(クリックして下さい)6分間

歯なしにならない話 講義録(私感)

(講義メモ:水野健二の私感も入っています。)

 虫歯 歯周炎は口腔内のばい菌が「歯」や「歯ぐき」に付くことにより歯や歯ぐきの骨を溶かす現象です。
 口の中をきれいにする液体、歯みがき液があるが、あまり好ましくありません。また電動歯ブラシも好ましくありません。微妙なブラッシングは手で行う歯ブラシが一番です。口の中には常在菌があり、うがいなどでそれらがなくなることはあり得ませんし、また常在菌は他から菌が口の中に入ってきた時に口の中の環境を守る働きもあり無くさない方がいいのです。抗菌グッズと同じで、気分はいいかもしれませんが体には良くないことです。


 歯ブラシを使うための大切なことは歯や歯ぐきからばい菌を外す、離すことです。これだけで虫歯、歯周炎は限りなく防ぐことができます。きちんと時間をかけて磨いていれば、ばい菌は離れます。時間をかけるためには歯磨き粉は使わないことです。時間をかけてブラッシングすることが大切です。また歯磨き粉の研磨剤は歯を傷めます。
 
 虫歯は初め、歯が光沢のない白さになり、それから茶色となって歯が溶け始めてきます。しかし、その白くなっている程度であればブラッシングなどで歯は元の健康な状態に戻ります。
 歯ブラシによるブラッシングは歯や歯ぐきの「歯こう」(ばい菌のかたまり)をとることが目的です。これで歯ぐきの炎症は取れます。しかしそのままにしておくと、歯石となってさらに歯垢がたまりやすくなり、骨を溶かします。歯ぐきから血が出るのは炎症が起きているいるからです。ブラッシングを行うと出血しますが、炎症が収まると出欠が止まります。
 
 ジュース類は極端な酸性食品です。ジュースの中に歯を6日間入れると歯は白くなって虫歯の前段階の状態になります。さらに甘いものをとりすぎると、口の中でばい菌が多くなりやすく虫歯、歯周病になりやすくなります。また食事の一日の回数が多い、間食が多いことも口の中の酸性頻度が高まり、虫歯になりやすくなる傾向があります。

 甘いものを好むのは小さい頃の食生活のインプリント(刷りこみ)によるものです。3歳までで味覚は決まるので甘いものは避けることが必要です。幼児が何か食べたいとせがんだときは野菜のスティックを与えると良いでしょう。小さい頃に砂糖の味をインプリントされなかった子供は砂糖、甘いものに極端な興味を持たなく、そして甘いおやつを欲しがらなくなります。
 歯にとっては、乳児には母乳が望ましいです。母乳の甘さは乳糖であり、粉ミルクは砂糖を添加しています。またその量が多すぎます。

**この文章は水野が講師の話を聞いて部分的にメモし、私感を交えています。歯について、詳しくはかかりつけの専門医にお尋ねください。**

Exif_JPEG_PICTURE

講習会参考資料
      

 

アサナは気持ちよくつなげる

 下の資料は15年くらい前に台湾で指導者養成クラスを担当させてもらったとき、空き時間がたくさんあり
観光も得意な街の徘徊も飽きてホテルでアサナの連続パターンを描いていました。
アサナの解釈にもよりますが、きつい動きやポーズを力づくや我慢して作るより、気持ちよく楽に作った方が体にも気持ちにも絶対いいよという信念はこの頃からで、今に続いています。
確かにきつい動きをやっているといつの間にか楽になるのですが動きが良くなって慣れるのか、きついままで悲鳴の感じるレベルが下がって鈍感さで感じなくなるのかわかりませんが、常に心身に負荷をかけていることはいいとは思いません。いかに楽に仕事をするか、楽に体を動かすかこの辺が世の名人といわれることをみても当然だと思います。

Yogaasana_tunagerujpg_4

今回この資料を出して、ところどころで講習会をやってみて、これだけの流れでなく無数に流れが作れることに気がつきました。力を抜いて肘や膝を動かすと面白い動きも、できそうもないことが可能性となって現れます。
例えば赤ちゃんの這い這いは脳の発達の最たるもので、進化に応じて足や膝だけではなく手や肘や腿の力強さが表れます。それをそのまま赤ちゃんになって肘、膝を動かしてみると今までの完成ポーズのレベルが上がるのです。
またネコのポーズを作り、うつぶせになって膝を左右に転がして這い這いの動作する、そしてネコから犬のポーズを作ると断然レベルが上がっているのです。(犬のポーズのレベルが上がるとはしっかりと手足で床をつかみ、頭を床につけることを言います。頭を下にするだけでは不十分になっていることに気がつきます。ちょうど前屈でできるのに中途半端な倒れ方と同じです。)

あるポーズから次のポーズに思い付きで進み、また元に戻り、又進んでいくと体の感覚が変わっていくのは進化と退化を繰り返した生命の不思議さをも見る気持ちです。(四足でスピードが得られるのにもかかわらず二本足で立ってしまったヒト。その分、別の能力を得たのも進化から退化、そして別の進化を遂げたという例でしょう。)

ホリスティックの考え方

 普通、ホリスティックというと後に続くのが医学という言葉が出てきます。しかしホリスティックは全体、大きなという概念ですから、医学という専門的な分野でなくても、普通の人が自ら良くしていこうというときに使われる言葉だと思います。
 体の不調な時に今の科学的な考えでは部分の改良を意味しています。肩がおかしい、膝がおかしい、胃の不調であるというようにそこの部分が悪い、それ以外は問題ないということを暗に告げています。まるで車の故障のように部品交換を期待している言葉です。
 西洋医学は医療のますますの発達のために多くの人たちが苦しみから救われました。けがをしても感染症にかかっても死ななくて済みます。小説「白い航跡」(吉村昭)の中で鳥羽伏見の戦いでけがをしたら、感染症で死ぬのが普通であり、漢方医学の限界を当時の医者は感じ、西洋医学に転向していった話しがあります。科学技術と医学は世界の大きな戦争のたびに発達していったのです。
 ところが今はこの部品扱いの医療では対応ができなくなっています。すなわち全身の機能が悪くなって部分に病状が出ている病気が多くなってきているのです。糖尿病や高血圧、血管障害、アレルギー、ガンなどがこれに当たるでしょう。
臨床医は病気を直すという大きな使命を持って病気に対応していますが、一部の医療関係者は一度は捨てた東洋医学の復活だけでなく、食養法や気功やそのほか癒すための可能性のあるものは何でも試みることを模索しています。
 現代の科学技術が進歩して人の幸せを満たすために万能と思われる思想が頂点に差し掛かろうとしているときに、命や人生に対して物の考え方が限界になったように思えます。ここに至ってホリスティック思想が問題解決の一つになろうとしています。命が太古から生き続けた、いや命が発生したもろもろの条件は、水や空気や食べ物や思いや魂や気の流れであり、自然と合致してきた結果であります。それならば人間が文明の中で失いつつあるのは自然観であり、私たちが自然の一部であり、自然そのものを再度理解しなければならないと思います。
Youjoukun
 中村天風師は病気を病と言いました。それは個人の責任で命のアンバランスを表す言葉です。病気と言うと自分とは関係のない不運のために体がおかしくなったという印象があります。しかし彼は治すのは自分という意味で使っています。同じように沖正弘師は「治さない治し方」と表現されました。すなわち心身霊を整えることで治っていくという意味です。
 ハリや灸が今では西洋医学と同じように○○に効くツボなどと称しているのは本来のホリスティックな考え方から逸脱しています。食べ物もそうです。○○に良いという食べ物は存在しません。生きるために必要なものが食べ物です。同じようにヨガのポーズも○○に効くなどもありえません。ヨガのポーズは全体を整える動きが目的なのです。だからヨガポーズは体操ではないのです。ヨガポーズは体の機能を整える重要な働きを持っています。
 生きものである私たちは、人間関係も命も人生も部分的な小手先でコントロールはできません。全人格的に全人生をかけて修復することが必要でしょう。それがホリスティックの考えだと思います。そしてますますホリスティックが必要な世の中になるでしょう。