くつろぎのポーズについて

ヨガのポーズを作り終ると次はくつろぎのポーズをします。
ただ横になって寝るだけですが、本当に寝てしまうと今まで作っていたポーズの効果を引きだすのが半減します。
仰向きになって一定の公式を使ってリラクセーションを深めていきましょう。
私たちの心身は神経でコントロールされています。健康なのはその神経が緊張したり、弛緩したりしてバランスをとって心身が安定しているからです。
それでは始めましょう。

仰向きになって大きな呼吸を2~3回します。
そして「安心」という気持ちを心の底から引きだします。
この今という瞬間は安心であります。ポーズを作ってきたことより満足と達成感があります。
そして幸せを引きだします。何とゆったりとしたひとときでしょう。
床とからだの接地しているところに意識をおきましょう。
気持ちが落ち着くにしたがって柔らかい体は床に拡がっていきます。かかとはお尻から離れていきます。背中はお尻から離れてウエスト、パンツベルトの部分が床につきます。
腕は肩から離れ、頭も首が長くなってうなじが伸びていきます。
こんなことを確認していく時間を作りましょう。
もうすでにどんどんくつろいでいるはずです。
これでくつろぎの体勢がとれました。

これからくつろぎを深くしていきます。

イメージを使うと神経がよりいっそう休みます。
このくつろぎをつくる神経は自律神経というものです。自分の意志で操作できない神経です。
この神経は例えば心臓の鼓動や血管を太くしたり、内臓の機能などを調節します。便秘にも関係しています。自律神経が正常であれば体の機能はすべてうまくいくように自動運転されているものです。
イメージ練習はからだの各部位に温感、重感を感じようとする練習です。正式にはほかに心臓の鼓動、呼吸の規則性、腹部の温感、額の冷感がありますがここでは省略します。
イメージの練習は大変に効果あるものです。効果があるということは注意もそれだけ必要です。心臓系、呼吸器系や腹部出血系などの自律神経系の大きな病気をもっている方は、重感、温感だけにしてください。私のヨガ教室でもたいていここまでにしています。叉ここまでで十分です。

それでは深いくつろぎを始めましょう。
仰向きになって幸せ感にひたりながら右足かかとを意識し、「重い」とイメージし叉実感します。
床からはね返されそうな感じや沈んでいくような感じがあります。
そしてその重さ感覚は脚全体に拡がってきます。言葉として「右足が重~い」です。3回繰り返します。そして左足に移って、同じように行ないます。
右腕を行ないます。左腕も行ないます。背中も行ないます。
次に「重~い」を「暖か~い」に変えます。具体的にぽかぽかしている感じを導くといいでしょう。同じように腕、背中と行ないます。はっきりとした感覚がなくても構いません。

くつろぎのポーズをやめて起きるときですが大きく手足の伸びを作りましょう。
そして「元気になった」というイメージも入れましょう。これで本当に元気になっています。
呼吸に意識をおいてください。深い呼吸でしょう。深呼吸などしなくてもお腹だけで大きな動きをともなった呼吸ができます。

ストレスや不安をなくす方法を考えましょう。
私たちの毎日は「予測と制御」の日々だと堺屋太一の本にありました。
こうなるだろうとかこんなことをしようなどと予測しながら計画をたて実行しています。
そして時間を調整し人を・お金を調整してコントロールして日々を送っています。
そこに思い通りならない時に不安、挫折、おびえで神経のアンバランスが訪れてきます。
まだなってしまっていないことをあたかも現実のように錯覚してしまうのです。そしてからだがパニックになってしまいます。イメージはどんなこともやってしまうのです。
小さい子供や動物はその日暮らしで多分不安など抱えないでしょう。
しかし大人はやらなければならないことがたくさんあります。子供でも高学年になってくると大人と同じように不安をいっぱい抱えます。部屋飼いの犬なども不安で自律神経失調になるそうです。
不安というイメージで体調を崩したなら現実を見る練習しましょう。見る聞くなど五感を使うことをしましょう。今日はいい天気だとか雨降っているとか、木々の緑が濃いとか薄いとか、上司の靴下は何色とか,ネクタイはとかを観察しましょう。リラックスしてくるでしょう。。 音楽、おいしいもの、アロマテラピーそしてヨガのポーズも五感を使った現実を見る練習です。

ヨガに瞑想というのがあります。ただ何もしないで座っているのです。忙しい人、余裕のない人にとっては時間の無駄しかうつらないみたいですが瞑想座禅もいい方法です。 ただ受け入れる、あらゆることを素直に時間だけが通り過ぎていくそんなひとときを過ごします。10分~60分の瞑想の終ったあとは何とすがすがしいクリアな感覚が得られるのでしょう。目も耳も鼻も皮膚感覚も新鮮です。般若心経の中にも無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法(ムゲニビゼツシンイ。ムシキショウコウミソクホウ)と逆説的に感覚の大切さを書いています。

くつろぎのポーズは禅的な瞑想の原理から作られています。皮膚感覚をただ受け入れる練習です。重さについて力が抜けているときそれぞれの部位はそれなりの重さをもっています。力が入っているときは重さに気づかない。力が抜けて始めて重いと気づきます。暖かさについても血液が流れているという現実を知ると暖かい。これは当たり前です。そんなあたりまえのことをくつろぎや瞑想で気づいていくのです。

当たり前のことをもっと深く感じるための「くつろぎのポーズ」は疲労回復にも集中力強化にも右脳開発にも役立つことでしょう。
(01/09/13)