サルドワールから10日間同行してくれるバスに乗ってガンジス川を遡上しウッタルカシに向かう。山ぎわを縫うように渓谷あり、すばらしい展望あり、肝をつぶすような断崖ありで9時間かけてウッタルカシ・シバナンダアシュラムに到着する。日本を出てからデリーまで8時間、夜行寝台車に5時間乗りまともな食事も眠りも不十分だ。やれやれインドらしいけどきれいな宿舎にたどり着いた。そこに4日間滞在し、ガンガーの沐浴や瞑想、プラナヤマそして聖者スワミ・プレマナンダジの講話で過ごす。彼は数々の苦行を行い中でも3年間のジャングル生活などを経て、田舎暮らしを行っているとのこと。彼に人間関係のことを聞いてみた。苦しんでいる自分の心の度量を広げるしかないというお答え。やはり秀でた人の答えは古今東西同じだなと納得。
ゆっくりと休んで次の行程はガンゴリーへのまたまたきついバス旅行である。前回よりもはるかにきびしい狭い道、落石じゃない地崩れに脅え、3000メートルの神が集まるガンガーの源流にたどり着く。ここから先はもう車ではいけないゴームクへの道があるだけだ。
寒い寒い毎日を過ごすが聖なる地らしく巡礼者やサドゥ(修行者)がたくさん居る。ヒマラヤの峰が見えるところで瞑想は格別である。ここでも聖人に数人お会いする。みんな粗末なあずまやで神との出会いを楽しんでいる。ここでも4日間滞在し何人かは高山病に苦しむが軽度でよかった。
寒いところから下山だが、この車、サイドブレーキが無い。どうりで運転助手が停車したらタイヤに石をかまして動かないようにしていたのだ。そして雨が降ってきた。ワイパーが動かない。無しでも慣れれば前は見えるみたい。それにしても急勾配は上りより下りのほうが怖い。車の後ろに「blow horn!」と書いてあるのでどの車も警笛鳴らしっぱなしだ。うるさいけどこれが唯一の安全運転なのだ。そういえば谷底に落ちた車の残骸をまだ見ていない。同行者は以前に見た、何度も見たといって新参者を驚かす。
ようやくリシケシに着く。ここはヨガの里というけれど観光地のような風景だ。朝の間だけアシュラムのカリキュラムに従うがそれ以外は観光客気分になっておいしい食べ物を探し回る。ところでバス旅行の間は専属のコックさんが3人もいて私たちをまかなってくれていたのだ。おいしい食事をあきささないようにありがとう。おかげで食中毒にもならずに済んだのだ。でもやっぱり外食にも興味があるのだ。3泊4日ここに居てデリーへ出発。デリーで大きな記念館につれてもらったが警備が厳しくカメラも時計もバックも持ち込み禁止。なんという施設かわからない。でもとてつもない大きな敷地と建物だった。食事もおいしかった。担当者の皆様方、楽しい巡礼をさせていただいてありがとう。インド人のような信仰心ややヒンドゥ教徒にはなれないけど祈る心、生かされている感謝心は持っていたいと強く強く心に植えつける旅だった。