はじめに 高齢者の方々は加齢に伴い、耳の聞こえの低下、言葉の不明瞭さ、喉の詰まりやす さ、平衡感覚の低下、視野の狭窄化そして顔の表情の低下などの不調を感じること が多くなります。これらの問題を軽減するためには、日々の適切なトレーニングや ケアが重要です。ここでは、上記の向上を目的とした具体的な方法について紹介し ます。
◯聴覚機能の改善方法 耳の聞こえを改善するためには、耳管を柔らかくし、通りを良くす ることが大切です。そのために、以下の方法が推奨されます。 発声トレーニング 「アー」と「オー」の音を繰り返し発声することで、耳管を柔軟に し、耳の通りをよくする効果があります。沖ヨガを学んでいる方は 「あおん」のマントラが大変効果的です。耳に響かすように行いま す。下あごを動かして、あごを軽く動かすと耳管に刺激が行きます。 約1分間行います。 耳管通気法 軽く息を止め、耳の方へ空気を送ることで耳管の通りを良くします。要領は口を開 けているとあくびが出るので、そのタイミングで息を止めます。いわゆる耳抜きで す。耳の聞こえが急によくなります。ただし気持ち悪くなる人はやらないでくださ い。1日2回くらい行います。やりすぎはよくないです。 耳の周囲のマッサージ 耳の周囲をやさしくマッサージすることで血流を促進し、聴覚機能の向上が期待さ れます。耳周りを手のひらで回すこと10回、耳たぶを5箇所(上、下、斜め、真ん 中)を外側に軽く引っ張る動作を3回行います。これを5回おこなう。 他に耳を手のひらで折りたたんで音を消す。30秒くらい。 イヤホンなど大きな音は聴覚を低下させる原因になります。静かな音を楽しみま しょう。
◯発声機能の改善方法 NHK「あしたが変わるトリセツショー」(喉のアンチエイジング術)一部参考 食べ物の喉の詰まりや声の出しにくさを改善するために、以下の方法が有効です。 *ストロー発声法 ストローをくわえて発声することで、喉の詰まりを防ぎ、発声をスムーズにしま す。5分くらい。高い音、低い音などで歌を歌ってもいいし、「あおん」の音もい いです。下記のカードに「花」、「荒城の月」、「夏はきぬ」を載せました。 *パタカラ体操 「パ・タ・カ・ラ」と発声することで、喉と舌の筋力を鍛え、声の不調を改善しま す。「パ・タ・カ・ラ」を一息で速く発声します。次に「パ」を一息で早く10秒間 発声し、次に「タ」・・・。もし若い人と比べると、発声速度に大きな差があるこ とがわかります。 *舌を動かす ・舌を前下に出す 動作、のどに刺激がいくように10回くらい行う。ヨガでいうライオン(シムハ) のポーズです。顔のマッサージになってシミ・シワの改善がある という人もいます。他に「あいうべー」と最後に舌を出す方法もあります。10回 くらいです。 また舌を上、右、下、左、そして上・・・の動作を10回くらい行うこともいいで しょう。 *「笑う」笑いヨガというのもあります。「ははははは・・」と2呼吸を笑いなが ら声を出します。次に「ひひひひひ・・」同じように「ふ、へ、ほ」最後に「あは はは・・」を2呼吸です。顔の表情がしまって年寄りくささがなくなります。 *「あえいうえおあお、かけきくけこ・・」などの発声で3回を大きな口を開けて 行います。「アイウエオ」でも良いです。滑舌防止です。 *「早口言葉」もいいですね。2回づつ読みましょう。下のカードに載せておきます。また 「付け足し言葉」も参考にしてください。
◯目のしょぼしょぼ改善 目の5分間体操 目の働きは脳と直接関連しています。平衡感覚にも関係します。車を乗る人は見 ていて見えていないことにならないように(特に周辺視野)練習しましょう。 「目の5分間体操」『目の5分間体操』については、YouTubeなどで検索してご覧 ください 『<実践編>目と脳の5分間体操』の内容は次のとおりです。 1.眼と首の運動 ー ウォーミングアップ、視線を定め首だけを動かす (手を伸ばして指を見つめる)左右、上下、斜め、逆 回す 各4往復 2.眼球運動(跳躍性眼球運動) ー 顔は動かさず眼球だけで目標を見る (手を伸ばして指を動かす) 左右、上下、斜め、逆 回す 各10往復 3.両眼のチームワーク(輻輳) ー 両目で近くの目標に焦点を合わせる 5往復(手を伸ばして指を見つめながら) 4.両眼のチームワーク(焦点の切り替え) ー 両目で焦点を切り替える 2点(左右の指)、3点(左右と遠くの物) 各10往復 (両手を伸ばして長短を作り、その指を見つめる) 5.周辺視の運動(有効視野の改善) ー 周辺視野を広げ有効視野を改善する 左右、上下、斜め、逆 各3往復(両手を広げて指を見る)
◯平衡感覚の強化 この機能が衰えると片足で靴下を脱いだり、ズボンをはくのが難しくなります。 また転倒の危険もあります。 衰える原因は目の働きであったり、半規管にある耳石の影響もありま す。練習は手を何かで支えて、片足になる練習を行います。各1分間行 います。 絵がありませんが、両足で立って耳石を刺激するつもりで、頭を右にス ライドする動作を5回、左にスライドする動作を5回行います。頭を左 右に倒しても良い。 この項目を作っている間に『スラックレール』なるもの を見つけ実践しました。興味のある人はネットで調べて ください。平衡感覚向上、体感力向上、リラックス効果 などの説明があります。
◯実践のポイント(顔の周りの神経の活性をカードにしました。) 高齢者の聴覚や発声の機能低下は日常生活に大きな影響を 与えます。しかし、適切なトレーニングを継続することで、その影響を軽減するこ とが可能です。 ここでは感覚器(見る、聞く、喉、口舌、平衡)を中心にまとめました。その他に も、ヨガストレッチ、瞑想、筋トレも欠かせません。 これらのトレーニングを効果的に行うためには、毎日、選択しながら継続すること が重要です。以下のポイントを参考にしてください。 ・一日 15分程度 を目安に実施します。 ・無理のない範囲で行い、継続することを優先します。
