研究会のテーマ

今月の当学院のスタッフによる研究会は「イメージを使う」をテーマに行いました。IさんとSさんがコメンテーターです。今年から使用テキストは「体が硬い人の・・」を使います。私が強制したわけでありませんが、じっくり勉強したいとのことです。サブテキストとして今回は「原初生命体としての人間」(野口三千三)を使いました。「原初・・」の中のイメージによるからだの秩序変革を実際に行うと朗読とともに立つ姿勢の体がどんどん床に沈みこみ、それに反して肛門や背骨が上のほうへ伸びて行きます。「丹田子宮から新しい腕が生まれる」や「丹田子宮から新しい尻が生まれる」などは本当に今まで知らない腕や尻がそこにあるのです。体のおもさや足のおもさが地球に引き込まれる実感をたっぷり味わった時間でした。
そういえば、前の日にTVで面白い実験をやっていました。紙コップをひっくり返してその上にテニスボール、同じようにスーパーボール、野球のボール、砲丸の鉄球をおいてそれぞれ木槌で上から叩くと、どのコップが潰れないでしょうかという内容です。答えは砲丸の鉄球です。作用反作用の考え方だそうです。重いボールをスピードのついた軽い木槌であっても叩くと木槌は跳ね返されると言う説明でした。運動量の問題でもあるなぁと思いました。mv=MVなのだから鉄球はほとんど動かない。
私たちの体も姿勢をよくして反作用として自分の体の重さを感じてみるとその重さを実感できるものなのです。そして腕や尻が垂れたり挙がったりした存在として気がつくのです。
私たちの動きはすべて地球からの反作用で存在しています。この重さをうまく利用できることが疲れない動き方といえましょう。ちなみに北海道は雪がよく降ります。除雪などは冬の日常の風景ですが、これとて足ごしらえをしないとスコップを扱えません。あるとき、無精者のわたしは家履きのスリッパで玄関先の雪を軽いスコップで雪をどけようとするのですが足が滑ってまったく不可能でした。
イメージは単に思い浮かべるだけではありません。思いはエネルギーですから体を動かしたり、自分の将来さえ作り出します。普段はほとんどが意識の中で生活をしていますが、その意識を作っているのは無意識です。習慣癖の内容などが無意識となり、意識をコントロールしています。よって今回はイメージを使ってさまざまな動きを試してみました。ハヌマーンのポーズ、スキのポーズ、らくだのポーズをうまくいくこともあれば相変わらず出来ないものもあります。できないのは意識が圧倒的に表面出てくるのです。痛い、出来ない苦しいなどです。
この説明を聞いてガルウェの「インナーゲーム」を思い出しました。無意識のセルフ2を信じなさい、セルフ2こそが本当のあなたです、と説明しています。イメージを上手に使うためにはイメージと体の関係が連動するように練習しなければなりません。
両手を合わして「短い方の指が長くなれー」という説明は単なる実験でなく、繰り返し行って練習するものだと思います。
また、イメージは言葉です。おいしかった、気持ちよかったは誰でも共通の感想です。しかしそれを第三者に正確に伝えるためには言葉足らずです。自分が体験した感覚のイメージを膨らませ他人にわかるように説明しなければなりません。TVのレポーターがおいしかっただけでは即不的確になるでしょう。料理まんがの「おいしんぼ」のように言葉をひねり出す能力がますます料理の技やヨガでは動きの「妙」を磨いていくと思います。
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體の動かし方

「体が硬い人のヨガ本」は順調に版を重ね、5版を出すことが決まったと連絡を受けました。札幌駅の複合商業施設ステラプレイスに入っている大手書店では平積み扱いになって、手に取りやすくなっています。
Hiratumi
ここでの話しは体が硬い人にも通じる楽に体を動かす方法です。体の旧漢字は「體」と書きました。若い人は知らないとのお返事ですから、話が進みません。旧漢字を使っている資料はなかなか見当たらなく、江戸時代末期の「解体新書」杉田玄白がオランダの解剖学図を訳した本ですが、これに「解體新書」とありました。(私の本ではありません。某大学所蔵とありました。)
昔は体を體とあらわしたのです。実にうまく言い当てています。すなわち骨がたくさんあると言う意味です。体は動くためにあるのですから、骨がたくさん必要なのです。動くことは骨が動くことです。ですから体は體とあらわすのです。
体を楽に動かす方法は骨が楽に動くことが大切です。骨が楽に動けば筋肉は緩むのですが、硬い筋肉であったり、力づくで骨を動かすと筋肉は緊張して骨は動いてくれません。筋肉をいためることになります。
楽に楽に骨を動かすことが楽に気持ちよくポーズを作る極意です。さあ、どのくらい楽に動かすことが出来るでしょうか。これは精神領域かもしれません。心が緊張したり暴力的発想が出てきたりすると筋肉は緊張するので楽に動かすことは出来ませんよ。だからヨガは体を使った、心の訓練だと言うのです。心静かに、やさしく落ち着いて丁寧に自分の体を扱ってください。骨はたくさんの情報を持っています。筋肉を怒らせないことで心が安定してくるのです。
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まっすぐが大好き

体が歪んでいるような気がするとか体のバランスが悪いという話を良く聞きます。
ヒトは脳化(養老猛司さん)といって自然を排して人工のものを作り出すのを好むそうです。都市には自然である牛や馬や蛾やミミズがいないのもそうです。その人工のものとは道路であったり建物であったり運河もそうです。またまたまっすぐのキュウリ、丸いトマト、スイカ リンゴなどなどは人の理想を商品にしてしまいました。自然界でたまたままっすぐのキュウリができるのは偶然に海岸がまっすぐなのと同じように偶然の代物のはずです。
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このまっすぐ、を体にも当てはめて自分で体が曲がっていると一生懸命ストレッチや体操、整体治療、カイロプラクティック等に精を出しています。しかし真の治療家は見えないところの歪みを取って心身を癒す方法を取るのですが凡人の我々は体のバランスが悪い、栄養のバランスが悪いと大騒ぎをします。
体は元々歪んでいるものです。内蔵は左右対称ではないし、また、右利き、左利きとそれぞれが生まれつき持っている癖もあれば、知らぬうちに身についた癖もあります。姿勢の癖や話し方の癖、考え方の癖などそのヒト特有で独特、個性であります。沖先生はその癖を業と言いました。悪い意味での業ではありません。自業自得も悪い意味ではないのです。ヨガでは自業自得の教えといって自分が持っているものに対して当然のように獲得する、失うことをいいます。
それなら良い意味の業を得るためには不得意なことを獲得するために学ぶことが大切、日々の習慣を変えることが大切と教えています。嫌なことを喜んですること、弱いところを強化すること、まっすぐであるべきところをまっすぐにすることをいいます。沖先生はそういう修正法を教えていました。なにもまっすぐにすることばかりではないのです。体が曲がって正常な人もいます。玄米の食事がいいとは限りません。道場時代に白米、甘いもの、肉魚を食べさせている光景を見たことがあります。ヨガとは生活のバランスだと改めて知りました。

コブラのポーズの再考

普段、デスクワークや立ち仕事をしている人、と考えるとほとんどの人に当てはまりますが、背中が硬く、肩こり腰痛にならなくても、腰が硬くなっているのに気がつきます。それも年齢にを重ねるに従って、そりポーズ、特にコブラのポーズがぎこちなく、いつの間にか敬遠してしまいます。
ここでお勧めなのが、赤ちゃんの這い這いはいかがでしょう。真似をするのでなく、ホントーに赤ちゃんになってハイハイするのです。頭のいい大人は単に手足を交互に動かすだけしかしませんが、これではだめです。7ヶ月くらいの赤ちゃん、立つ少し前なら動きがかなり速いはずです。
腹ばいになって、何か獲物(Iおもちゃなど)を見つけたらなら、ぐいっと頭を上げ、それを目指していちもくさんです。目を固定して、手、ひじ、足、膝を使ってかなりのスピードで動きます。このころの赤ちゃんは目が離せないくらいです。そういう這い這いをするのです。
そんな気持ちで、動きを作ると5歩で十分ですから、かなり首、肩、腰が緩むはずです。どうぞコブラのポーズを作ってみてください。
いつまでも若く保つために、頭は無理としても、体だけはやれば改善できます。なぜ頭はダメかというと、あまりにも癖習慣がしみ込んでいるからです。体は若いころ、赤ちゃんであったころのの記憶が残っています。這い這いなんて簡単です。それも狭い部屋でも5歩、いや3歩でも上手にすれば(イメージだけでもいいのかもしれません)うまくいきます。写真なし。

ラジオ体操

今年の夏はできるだけラジオ体操に参加することにしています。町内の公園で6時30分からNHKラジオ第二放送の全国版に合わせて老若男女、子供たちが約50〜60名くらい集まって10分くらいの体操をします。子供より大人が多いのはご近所さんのおつきあいがいいからでしょうか。体操が終わると子供たちの列に混じって大人も出席したというハンコをもらうために並びます。はじめは恥ずかしかったけれど朝のご挨拶を役員の皆さんとする唯一の機会です。
私はそのラジオ体操をあまりまじめにしていません。動きが速いからです。ヨガではしっかりと体を感じながらするのに慣れているので腕や首を痛めそうです。また反動も普段しないのですがアナウンサーの声で「横曲げ、大きく反動をつけて」と聞こえてくるのですが、体を痛めそうです。しかしたくさんの人の中に入っているだけで皆さんの気をいただけるようで元気に今日1日が始まります。
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月の礼拝体操

ヨガのカリキュラムで太陽礼拝体操はあまりにもポピュラーです。あるグループはこの体操しかしないそうです。それだけ瞑想に打ち込んでいるのでしょう。
私が初めて習ったのは、合掌礼拝体操と名うっていました。師は癖や習慣、思いこみを見直し、より新しい考えで社会を見ていくことで進化向上が生まれるのだと説きました。そして、既成概念を打破することに集中して、ポーズの名前もことごとく独創的でした。今私たちが使っている名前と大きく違うのは、犬のポーズを山のポーズといい、三角のポーズを釣針のポーズ、肩立ちのポーズを逆さかだちのポーズと言っていました。その真意はサンスクリットや欧米思想から離れた日本独自のヨガを伝えたかったのでしょう。
話は変わります。わが師のヨガは月の礼拝の名称はありませんでした。私はこれを知ってからなぜか、太陽礼拝以上に好きになっています。理由は体がつながる実感が得られること、ポーズ一つ一つが意識しやすいこと、体の変化が大きくなること、呼吸のリズムが取りやすいことです。ゆったりと満月を思い出しながら、新月、三日月を思い出しながら繰り返すのです。
太陽があらゆる生き物に照らしている一様な空間があるとしたら、月は照らされている限局の空間を主張するマイナーな存在なのです。(小池龍之介氏講話から) ある時は暗闇を作りいつもは光を放っていないあてにならない存在だけれどその隠れた恩恵に静かに感謝する存在が月なのです。
月の礼拝体操を続けていくと心も体も自然と一体化していきます。そう意味で学院で好んで繰り返しています。太陽礼拝体操も月の礼拝体操もラジオ体操とおもむきが異なります。師は動きを禅にする、動きのみに集中する、動きが自然と一体になるような効率を求めていく動き、これを動禅と言いました。これは立派な瞑想になるのです。心のためのポーズを作ることを目指しなさいとよく言われました。
下のイラストはmi.soさんの作品です。学院のためにたくさんのイラストを書いていただきました。
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軽くて楽な動きがいい動き

「軽くて楽な動きがいい動き」の標語でヨガ指導をしていますが、その原点はたくさんありますが操体法という治療法が一番初めだったと思います。操体法で検索するとたくさんの本と治療院がでてきますが、当時はまだ創始者の橋本敬三先生が存命中で私の周りはずいぶん騒ぎ、、彼らからいろいろ教わりました。
今、学院ではカリキュラムに入って体を柔らかくリラックスするテクニックで行っています。しかし数週間前からスタッフから火がついて、操体法のことをいろいろ勉強しだしました。私は本格的な操体法を10年以上やっていなくて、すっかり錆びついて、新たに勉強しなおしです。調べてみると本もたくさん出ているのに驚きました。しかし札幌市内で操体法をしている治療院を探したのですが、メインでやっているところはほとんどありません。なぜないのでしょう。この操体法は入口が広く、とっつきやすく誰でも出来そうな療法ですが、奥が限りなく深くそこに到達するのは並大抵ではありません。私が思うのにヨガと同じで学び続けなければ、マンネリになり技術が低下していくのです。それで操体法を取り入れていた治療院は他の療法と組み合わせて操体法を補助的にしか使わなくなったのかと思います。
ヨガの授業のときに、私は体のバランスや修正的なことはあまりやりませんでした。それはリラクセーションと左右対象のヨガポーズでまかなえると思っていたからですが、しかし今は少し考えを変えて、積極的に操体法とりいれた修正ポーズも行うことにします。取り入れて数日しかたって立っていませんが、基本操法(重心のかけ方、あしぶみ)をするだけで木のポーズや英雄の3番というバランスポーズが劇的に楽になるのです。
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クラス風景

ちょっと驚きのポーズです。現在9ヶ月のSさん。
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すごいチャレンジ精神旺盛です。うつぶせは前から平気でした。今日は弓にポーズを作るので無理しないで見ていてください。でも面白そうだったら少しだけですよ。お腹は直接、床に着けています。大丈夫と聞くと、胸8割、お腹2割に体重をかけるのだったら大丈夫とのこと。なるほど。この後がまだあるのです。弓のポーズを作って、仰向きになって割り座になり、また弓になって回転していきます。まさか、やるとは思わず1回まわって、STOP!!やめて!!とこちらからお願いしました。Sさんふーぅ。きついわ、と。赤ちゃん動いている?と恐る恐る聞いて、「動いている、大丈夫」と言ってくれて、ほっです。いくら、面白いと言ってもほどがあります。
ときどき、皆さんの前でここのマタニティヨガの考えをお話ししています。ここはおかあさんの体調を整えるところ、もし、異常があったり、不快など医療的な問題があれば医療施設へ行ってください。ここは医療機関ではありません。マタニティの方は病気ではないこと、心も体もマタニティライフを快適に過ごすために生活を正すため、その方法を学ぶところ、いつも赤ちゃんとお話をしてください、楽しい面白いと思ったらチャレンジしましょう、でも無理はしないでください。こんなふうに説明しています。無理か無理でないかはあくまでおかあさんたち(あかちゃんと)が決めるのです。過保護になりがちなこの体と気持ちを少しでもたくましく動けるようにお手伝いしています。これからもがんばってくださいね。Sさんの写真を掲載するのは許可済みです。少しぼかしましたが。。

学院には多才の人たちが

今日も授業の終わりにはたくさんの話題でにぎわいました。登山家ルチアさんが新聞に出たよ持ってきた話題は格別でした。日本人エベレスト登頂女性日本人4人目という偉業を残した方です。かの有名な三浦雄一郎さんも載っていました。昔から登山で名を残す人はごく一部ですが、遠征ではお金もかかるので資金のみに目を向けるアドベンチャー商業主義は何かおかしいと少し批判的でした。

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その話題の中にいた人も聞いてみると看護師さんで保健師さんで助産師さんです。道北の地域周産期母子医療センター -という出産に緊急を要する救急施設に勤務していたということ。そういえば私は今年からマタニティのクラスを担当します。10年ぶりのクラス担当ですから不安いっぱいです。腹筋は妊婦さんに必要ですかとおそるおそるたずねました。絶対必要と太鼓判を押してもらいました。腹筋がないと赤ちゃんは力を入れたときに前方に出る、すなわちお腹の大きな妊婦さんは腹筋のない人。小さく生んで大きく育てることは本当だったのです。それでは腹筋のある妊婦さんは力を入れたらどうなるかというと、赤ちゃんは上に上がる、この状態で出産を迎えると上がって下がるからスムーズに出産が終わるといいます。なるほど、なるほど。そういえば10年前は妊婦さんだってアーチのポーズや逆立ちのポーズを平気でやっていましたよ。写真はこちらにあるけど、今はそんなの言ったらムリムリだっての返事です。

チャレンジポーズ

無断拝借写真です。でも私が撮りました。このハヌマーン、前後開脚のポーズは私も先日の勉強会の時、はじめて出来たのです。この写真のONさんもはじめてだとか。私のはだれも写真を撮ってくれなかったのです。

どのようにしてできたのか知りたいでしょう。
数日前の日曜日は勉強会でした。テーマはこのハヌマーン。楽にできる班、ちょっと出来る班、全くできない班と分かれ、研究発表です。出来る班のメンバーは柔らかい人たちばかり、こういう人たちはひそかに私は生まれつきをうらやんでいました。ところが発表では毎朝、体を動かしているとのこと、頭が下がりました。そしてできないグループは私を含めて数人。この人たちはヨガ指導にかかわっている人たちです。ヨガをやったことのない初心者みたいに体を硬直しています。でもはしくれです。ほぐして、踏みつけて、押してなどやっていると、だんだん形になっていくのです。そしてONさんみたいになりました。ポイントはそりです。そしてのけ反りでした。数日前から忘年会の練習をしているのも、役に立ちました。決してきれいなポーズではないけれどやればできるのです。帰りの足の軽かったこと、生まれて初めてのハヌマーンでしたからね。あとひとつ。次の日はキンニクツウでした。ちょっとできる班の人たちもやっぱりキンニクツウだったとか。