アサナ写真集の更新

当学院では壁にアサナ写真集を掲示してあります。原則としてカリキュラムは3ヶ月毎に数年間、くりかえしていますが、今のところ不都合はありません。ヨガは変化刺激が大切ですから、前と同じ授業をしていません。絶えずもっといい動き、もっとわかりやすい説明、向上していくことを求めています。

今回も前のアサナと同じです。しかしモデルがかなり変わりました。変わらないで、前に撮らせていただいた方も少しは載せさせていただきました。いい写真がないので再登場をお願いしました。改めてお礼させていただきます。

今回の大きな違いはカラーになったことです。やはり華やかです。そして研究生だけでなく、受講生の方にも参加をお願いしました。美しい、きれいなポーズだけではありません。発展途上のポーズもあります。老若男女、そしてアクロバティックなポーズもあります。掲示して受講生の方の評判はよろしいようです。6年ぶりの更新です。更新にご協力いただいた皆さま、ありがとうございます。

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手元の見過ぎ失敗を招く

新聞記事のタイトルです。記事の内容は難しそうですが、
ピアノの練習、バスケのドリブル、パソコンのタイピングなどは手元が見ない方が早く、上手にできるという内容です。
私にとってはどれも身に覚えがないのですが、なるほどと思いました。
ある人との話しで、年のせいか、駅の下りの階段で若い人に追い抜かれることが多くなった。
降りるのが遅くなったのは、転ばないように足下をいつも見ているからだという。
全く視線を外すことはできないが手すりを軽く持って、5〜6歩先を見ながら
降りていくと軽やかに降りることができるとのことでした。
私は以前、山登りをしていた時期がありました。
仲間は膝にとって登りは何ともないが、下りになると
膝が痛くなって(膝が笑うという表現をします。)辛いと言っていました。
山での下りは重い荷物を持って滑って転ばないために、一歩一歩踏みしめて降りることになります。
しかし、ある人は、荷物を背負っていても坂道を転がるように降りて行きます。
そしてつづら折りのカーブのところでぎゅっとブレーキをかけて減速しながらまた、坂を降りていくのです。
これなども足下を見すぎることで筋肉が疲労してしまって膝に負担がかかるのでしょう。
リズミカルに降りることで膝に負担が軽くなるのですが、
これも階段と同じように転んだら大変なことになりますから用心は必要でしょう。
ヨガの手指ほぐしの場合です。手の平を合わせて指を組む動作をします。いったん手のひらを離して指をずらして組みます。そしてカウントを取ります。
30回くらい数えますが、左右の指がぶつからないように指を組み替えるのです。そして指が互いにぶつかった回数は何回かと聞くと、用心しながらしっかり目で指を見ている人とほどぶつかることが多いようです。
少し難しく行う方法として、手と手の間を1メートルくらい離して、手を見ないで同じように交互に組むのをカウント取ると、難しいのにぶつかる回数が少なくなるのは、記事と同じ内容でしょう。
もっと効率よく、ぶつからないようにするには、その前に指回しをしっかりしておくことです。指の筋肉の反応がよくなってぶつかることがなくなるのです。
当然目は指を見ないことです。頭の体操にもなりますからぜひやってみてください。
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台湾で本が出版されました

1昨年夏に刊行された「体が硬い人のためのヨガ」はおかげさまで11刷に達しました。そして当学院の関係の方だけで1000冊が売れ、先日に新たに100冊注文しました。ほんとうに皆様のおかげです。

そしてまたうれしいことに、中国語に訳するという話しもいただき、契約書も1年前に交わし、ようやく台湾で店頭に並んでいるそうです。

企画をいただいて、ライターの方と案を絞り、普段やっている教室での動きを再現すべく討論をしても、変更やボツが重なってようやく、これも出版関係者のプロ意識に支えられて出来上がりました。「水野健二は自分が大好き」と本の中で述べている項目があっても、皆さんのの期待にそえるか不安で、売れないから絶版という恐れも考えていましたがおかげさまで11刷です。「大好き」という呪文は運を良くするものと確信しました。

自分では気が付いていないのですが、あるヨガインストラクターの方が、ヨガポーズを組み立てるのにバイブルになっているということでした。私はその方に、本に書いている動きは単なる一例で、一つ一つの動きをしているときにどこに刺激があったり、気持ち良かったりなど感じることで、次の動きが出てくるものですよ」とコメントしました。普段はマヒして沈黙をしている筋肉が味わっていることで目を覚まして、無意識に、次はここを動かせと指示してくれるのです。

体の柔らかい人、パワフルな人こそ丁寧に自分の体を見つめる機会を作っていただければと思います。最近ユーチューブなどできれいで美しいポーズを作っているお兄さんおねえさんのポーズを観る機会があります。すごいなと感激します。でも、私の周りはおじさん、おばさん、おじさん、おばあさんが多くなりました。わたしも 「」の年代です。できる範囲で、かっこわるいけれど気持ちのいい動きを作っていきたいとおもいます。

チーターやワニのように歩く

沖ヨガには強化行法と言って動物のまねのように歩いたり、普段つかわない筋肉を使った動きの行法があります。時にはチャレンジ精神が必要なレンジャーもどきも当時はありました。これらはヨガの標語である「生命力強化」「生命即神」の考えです。生きていること自体不思議な現象であり、かけがえのない、神のご加護である。そして生きていることに喜びを得ていくことが本質だと言う意味です。
今回は四つ足の動物が歩く姿を再現してみます。(教室ではほとんどすることがなくなりました)
チーターは背中のしなやかさのために時速100キロで走るそうです。そのしなやかな背骨をまねした歩き方をやってみましょう。イメージだけで行うのではなく、プロセスを追っていくとそれほど難しくありません。
まず、よつばいです。足裏ならぬ、ひざと手で体を支えます。そして左ひざと左手に体重をかけると背骨はたわみます。次に左ひざで床を押すと背骨を持ちあがるので同時に同側の手(右手)を前に出し、反対の足を前に出します。(動いていないのは左ひざと右手です。)
反対のひざで同じような動きが始まります。すなわち右ひざに重さがかかり、右手にも重さがかかって背骨はたわみます。次に右ひざで床を強く押すと背骨が持ち上がり、同時に同側の手(右手)が前に出て、反対の左ひざが前に出ます。このように次々と背骨は重さをかけられ、そして、もちあげて歩いていくのです。
ワニの歩きは、これと同じパターンですがひざではなく、足を使い、ひざを曲げ、肘を曲げて胸を床に近づけながら歩くので結構きつい動きです。背骨こそ持ち上がりませんが、プロセスを見ていくとできそうです。
胸を床に下げて、左足と左手を近づけておきます。右足と左足は離しておきます。そして左手を前に大きく、伸ばして床につけ、右足を右手の近くにおきます。これを胸を床に近づけて行います。初めの動作の左右逆です。右手を大きく前の伸ばして、左足を左手に近づけます。この動作を繰り返していけばいいのです。



YouTube: ti-ta&wani.m4v

赤レンガ庁舎訪問

天皇陛下のご病気お見舞いに北海道庁(赤レンガ庁舎・旧本庁舎)へ記帳に行きました。ここは24年前、昭和天皇ご崩御にお悔やみの記帳をした時、以来の場所です。
天皇陛下は順調に回復されている報道もあり、記帳所は閑散としていました。ついでにと滅多に入ることのない庁内を見学しました。ここはもう記念館としてのみ使用とのことで、その西側に現在の庁舎が地下2階、12階の建物がそびえています。
明治21年築とのことで、今は北海道の歴史記念文書などが陳列してありました。このブログで紹介した松浦武四郎の大きな肖像がクラーク博士と共に絵画として陳列されていました。
今、札幌は180万都市として栄えていますが100年前までは未開の土地だったのは感慨深いです。
写真は琴似に入植した屯田兵、作られた当時の赤レンガの絵、クラーク博士の島松駅舎での別れ、松浦武四郎の絵はこの下にアイヌの人たちの絵があります。そして現在の赤レンガ庁舎です。
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Matuura
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重さを意識して動いてみよう

 ヨガのポーズや日常での生活の中でどのくらい重さを意識しているでしょうか。
 一番わかりやすいのは歩いているときだと思います。そのとき足の振り子を意識すると歩きやすいのがわかります。当然、そのとき腕は振り子になって足の動きとバランスをとっています。振り子は物体が位置エネルギーから運動エネルギーに変わるときの動きですから楽な動きになるのです。

 犬や猫、野生の動物は歩く時、足首から先が垂れるのを観察できます。足首の力が抜けていると重さで手先、足先は垂れます。その脱力は肩や腰に現れ、次の力強い大地を押す力(収縮力)に変わるのです。

 ネコのポーズでは丸ネコで背骨を持ち上げ、反りネコで背骨が垂れて背中を緩めていますが、必要なときに早く強く動くことのできる、背骨の力の源になっていると思います。

 次は人の姿勢についてですが、癖や筋力不足、精神的な思い込み、孤立感などで頭が垂れ、肩や背中が丸くなります。その姿勢は頭や肩などの上半身は重さに耐えられなくなって首肩の緊張は腰にも負担を強い、膝など全身に現れます。私たちの体は人類始まって以来、力強い筋肉が存在しているのです。
 私たちは100万年以上前に直立歩行に移行し30万年には知能が発達した現世人類になったといわれています。その過程ではまっすぐに立つための筋肉構造が出来上がりました。その筋は抗重力筋といって脊柱起立筋や腿の筋肉、お尻の筋肉、ふくらはぎの筋肉などは姿勢を保つために、緊張していても疲れない筋肉であり、それに反して、腕や背中の筋肉は大きなパワーがあってもすぐ疲れてしまうのです。背中を丸くして肩や背中に緊張したままでは耐えられないようになっています。

 ヨガのポーズをつくるときも、背すじ(特にうなじ)を伸ばして背骨をまっすぐにすると肩や腰はやわらかく動かすことができます。ヨガクラスで気になるのは頭を下に垂らしてしまう無意識の動きです。頭を垂らすと頭の重さ(体重の10%、5-6キロ)を支える肩の筋肉が緊張して動きも悪くなり肩の不快にもつながります。ヨガのポーズのとき、うなじを伸ばすことをしていると体は軟かく楽に動かすことができることが多いです。 

 呼吸も肺の重さの関係で、胸が立っているとき、横になっているとき、逆位になっているときで、肺の位置によって、吐く息、吸う息が変わることを理解しましょう。胸が直立に近い姿勢(立つ、座る)のときは吐く息は長く、吸う息は短くなります。しかしその逆にするとき、たとえば下向きの犬のポーズやウサギのポーズ、肩立ち、スキのポーズのときその吐く吸うは逆転します。(すなわち吸うのは楽で長い、吐くのは短い)日常で胸を逆にしていることはほとんどありませんが、喘息など気管支が細くなっている人は吐く息が苦痛となるので、このポーズを作ると、より一層つらくなるはずです。またそのような疾患のある人で発作が起きている人は起座呼吸といって横になっていられなく、座って息をすることになります。横になって寝られない日が続くということも聞きます。

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 肺の逆位について写真を参考にしてください。逆位のとき胸郭内の肺胞は重さで下に、すなわち喉の方向に垂れています。吸う行為は肺胞が持ち上がります。空間がある限り、圧力差(肋間筋、横隔膜の筋力)で膨らみます。吐く時は肺胞が重さで下に垂れているのですぐつぶれて十分吐くことができないことになります。

 背中や腰の緊張をとる方法としてあお向きで膝をかかえたり、膝を左右に倒す方法があります。
 もっと効果的なのは骨盤を前後に動かして、あごの連動性を利用する方法です。すなわち、それは小さい微妙な動きですが尾骨を床につけるとあごが引ける、尾骨を床から離す動きをするとあごが上がるという動きです。この方法のポイントは頭の重さが関係してあごが出たり締まったりすることで背骨の周りの筋肉が緩むのです。この動きをした後は背中や腰が床に着いている状況は背中腰の筋肉が緩んで骨そのものの重さで沈んでいることになります。

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またうつぶせの弓ポーズからあお向きの割座へ回転する方法ですが、これも頭の重さであごを出して首の緊張をなくして腰を緩めることで胴体を回していきます。この動きを楽にできる程度の腰痛であれば、この動きを行ってみると腰の痛みが軽減することがあります。(痛いことをすると悪化すること間違いありませんので注意してください。)

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このように私たちは重さのある星に生まれ、その重さに適応できた生物のみが生存を許されたことになります。
重さを意識した動きは滑らかで、気持ちよく、美しく、疲れないのです。

動画の紹介

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいします。
さて、年末にビデオを撮りました。とてもこのブログに載せるに耐えられない代物ですが話題提供として、紹介させていただきます。
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タイトルは「体を活性化してパワフルになる」です。
簡単に動きの概略を紹介しますと、以下の通りです。
1. 赤ちゃんのハイハイ歩きをその場でおこなって、腰回りを強化、柔軟にします。
   赤ちゃんの発達は動きが脳の発達につながるので気分を変える意味でも素晴らしい動きです。
2. よつばいになってネコのポーズ、伸びネコのポーズです。背中の柔軟を期待しています。
   普段、猫背になっていませんか、肩こりは首にも腰にもエーキョウします。
3. うつぶせになってコブラのポーズのアプローチ動作に入ってきます。腰が一層柔らかくなるためには首の動きが欠かせません。
   年とともに柔軟性が衰えるのが背中です。精神的にも肉体的にも重いものを背負っているのです。
4. 弓のポーズのアプローチから仰向き割り座のポーズを作ります。足の腿の前面を伸ばすのは男性にとって拷問みたいですが、うなじ周りや背中周りをケアすることでかなり楽になると思います。
   この辺りの連続ポーズは体全体の修正につながる動きです。弓から割り座を作る動作ができればいいですね。
5. 魚のポーズはうなじをゆるめ、腰、背中をゆるめるうってつけです。
   このポーズもポイントは首です。首は骨も小さいので、ムチ構造で考えると筋肉もしなやかに動くのが良いです。
6. そして最後はアーチのポーズで決めるのですが、頭を床につけるだけでもいいですよというのが画面で訴えているのですがわかるでしょうか。これはチャレンジです。
パワフル動画(クリックして下さい)6分間

歯なしにならない話 講義録(私感)

(講義メモ:水野健二の私感も入っています。)

 虫歯 歯周炎は口腔内のばい菌が「歯」や「歯ぐき」に付くことにより歯や歯ぐきの骨を溶かす現象です。
 口の中をきれいにする液体、歯みがき液があるが、あまり好ましくありません。また電動歯ブラシも好ましくありません。微妙なブラッシングは手で行う歯ブラシが一番です。口の中には常在菌があり、うがいなどでそれらがなくなることはあり得ませんし、また常在菌は他から菌が口の中に入ってきた時に口の中の環境を守る働きもあり無くさない方がいいのです。抗菌グッズと同じで、気分はいいかもしれませんが体には良くないことです。


 歯ブラシを使うための大切なことは歯や歯ぐきからばい菌を外す、離すことです。これだけで虫歯、歯周炎は限りなく防ぐことができます。きちんと時間をかけて磨いていれば、ばい菌は離れます。時間をかけるためには歯磨き粉は使わないことです。時間をかけてブラッシングすることが大切です。また歯磨き粉の研磨剤は歯を傷めます。
 
 虫歯は初め、歯が光沢のない白さになり、それから茶色となって歯が溶け始めてきます。しかし、その白くなっている程度であればブラッシングなどで歯は元の健康な状態に戻ります。
 歯ブラシによるブラッシングは歯や歯ぐきの「歯こう」(ばい菌のかたまり)をとることが目的です。これで歯ぐきの炎症は取れます。しかしそのままにしておくと、歯石となってさらに歯垢がたまりやすくなり、骨を溶かします。歯ぐきから血が出るのは炎症が起きているいるからです。ブラッシングを行うと出血しますが、炎症が収まると出欠が止まります。
 
 ジュース類は極端な酸性食品です。ジュースの中に歯を6日間入れると歯は白くなって虫歯の前段階の状態になります。さらに甘いものをとりすぎると、口の中でばい菌が多くなりやすく虫歯、歯周病になりやすくなります。また食事の一日の回数が多い、間食が多いことも口の中の酸性頻度が高まり、虫歯になりやすくなる傾向があります。

 甘いものを好むのは小さい頃の食生活のインプリント(刷りこみ)によるものです。3歳までで味覚は決まるので甘いものは避けることが必要です。幼児が何か食べたいとせがんだときは野菜のスティックを与えると良いでしょう。小さい頃に砂糖の味をインプリントされなかった子供は砂糖、甘いものに極端な興味を持たなく、そして甘いおやつを欲しがらなくなります。
 歯にとっては、乳児には母乳が望ましいです。母乳の甘さは乳糖であり、粉ミルクは砂糖を添加しています。またその量が多すぎます。

**この文章は水野が講師の話を聞いて部分的にメモし、私感を交えています。歯について、詳しくはかかりつけの専門医にお尋ねください。**

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講習会参考資料
      

 

月食

 今週の教室のテーマは月の礼拝体操でした。月のテーマについての講義候補はたくさんありそうであまり現実的なものがありません。
助産師の方が出産は圧倒的に満月と新月が関係しているといっていました。今は都会では月を見上げる機会がなく、夜空の星も月もネオンや街頭などで気がつかなくなりました。でも少し街から離れてみるといつもそこには星と月がそこにいつもあることに気がつきます。大昔から人も動物も空を見ると生かされていることに気がつきます。女性の生理も潮の満ち引きも月に関係しているのです。きっと動物や植物は敏感に月の満ち欠けに気がついているのでしょう。
昨日の礼拝体操は「竹取物語のかぐや姫」の話しをしました。月の都から迎えにくる話です。帝の兵隊たちも、月の人たちの出す威力にはかないません。不老長寿の薬をもらった帝は姫がいないのなら必要ないと一番高い駿河の山で不死の薬を燃やしたところから富士山となったと言います。
ところで、月食についての神話はあまりいい話はありません。魔力や怖い話が多いようです。やはり天変地異は昔から忌み嫌うものだったのでしょうか。
そして、夜空の澄み切った中の天体ショーをパチリとショットしました。
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大橋指圧(Ohashiatsu)再考

 十数年前に沖ヨガ修道場(当時龍村修・道場長)の紹介で、札幌市内で大橋指圧のセミナーがありました。会場は札幌中央区内の某有名な臨済宗のお寺の一室です。大変な評判で小さな会場ではありましたが入りきれないくらいの参加者がありました。そして翌年もそのセミナーは催され大好評でした。そのセミナーは指圧をすることで、する人がリラックスすることや指圧をする人の体の使い方がヨガと同じ考えであり、しばらくは学院のカリキュラムにも、入れたくらいでした。 

講師の大橋渉先生はNY在住で大学卒業後、アメリカに渡り、そのまま指圧の普及活動をされていました。今もhpなどを見ると活発に活動されています。

 彼はアメリカで、日本で著名であった増永静人師のアメリカ指圧講演旅行の通訳として同行や翻訳をしました。その影響もあり経絡指圧として治療師でなく、指圧をする人の心身一如の教育としての指圧をOhashiatsuとして確立されました。教育というのは東洋の心を、指圧を通して支え合う、触れ続ける、自然であることの大切さを伝えるものでした。

 今回、私はもう一度復習をかねて、経絡指圧を学ぶことにしました。経絡についてはこれも昔ですが、祖である奥山龍峰師下の皇法指圧・八光流柔術を学んだときから興味があり、大橋指圧になじみやすかったと思います。その経絡を面白い観点から述べた書物「気の経絡指圧」(遠藤亮及)を手に入れたこともあって大いに参考になっています。その著者は増永静人門下生であったとのことでした。

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経絡とは体全体に気が流れる筋道のことを言います。その経絡の気脈の流れで心身の活動を行っているという東洋哲学、医学の考えです。その経絡が弱くなったり強くなったりして心身の状況が変化し、ときには病になり、治ったりすると考えられています。そしてその経絡上に経穴というツボが存在し気の出し入れを行っていて、指圧や針きゅうなどを行って気をコントロールするのですが、この気については今では太極拳や気功で十分な理解が進んでいます。

また、気とは目に見えるものでなく、存在しているとか、働いていることを言います。動きの中にしかないのです。(「気の経絡指圧」)マクロビオティックの基礎理論である食養の陰陽理論は無の存在からあらゆるものが陰と陽に別れ、それら結合して陰陽の優劣のある、形あるものが現れたと言います。ですから経絡も陰の働きあるもの、陽の働きあるものに分かれています。

 

気を出す方法は古代中国では導引が気を出すトレーニングと言われ「武術・体操・瞑想」の訓練をしたとのことです。私の6年間習った八光流柔術もいつも経絡を意識し、殺法にもなり、活法にもなるツボ刺激などがありました。そして今はヨガを学んでいますがこれも気を意識するものでしょう。それは気がイメージを含んでいるからです。

先の気の説明の中で「気」とは動きの中のみにあるとありました。それは気が強く働くためには「動き」が欠かせません。ヨガの動きもそうです。力づくの体操にしてしまうと気は出にくくなります。イメージを抱いて気持ちよく流れるように動くことが大切です。大橋指圧もそうです。大橋師はこの指圧を太極拳と言ったりダンスと言ったりしています。共に肚を意識し、流れるような動きをとることで気の循環は促進し、生命力が活発になっていくのです。

 

「気の経絡指圧」には以下に気のことをわかりやすく説明しています。

経絡は気の流れ、生命活動の生命活動の根本である。これが内臓機能や身体姿勢などの動き、意識、無意識をも含んでいる。

経絡が行っている気の働きとは次の通りである。

・肺・大腸経 内外の気のエネルギーの交換

・胃・脾経 気エネルギーを取り込み、消化する

・心・小腸経 消化した気エネルギーを吸収する

・腎・膀胱経 吸収した気エネルギーに基づいて行動を準備する

・心包・三焦経 気エネルギーを全身に循環させる

・肝・胆経 気エネルギーの活用と貯蔵

これらの経絡名は古代から存在しているもので、江戸末期になって杉田玄白らがオランダのターヘルアナトミア人体解剖図から日本語訳の臓器名を付けるときその臓器の役割(エネルギーの働き)から気の経絡を拝借したのです。現代人は内臓器をよく知っていますから経絡名を臓器と関連してしまうのですが、臓器とは関係なく、経絡は気のエネルギーの働きなのです。

大橋師は指圧をしているときに何度も「肚」という言葉を使いました。肚(はら)とは丹田の日本語名です。インドのサンスクリットではウディヤーナ、中国で丹田となるのです。沖導師は丹田仏性をわかりやすく以下の図のように説明しています。

 




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   


 

 
Busyoutanden

すなわち心と肚を同列に扱っているのです。心身一如という言葉は肚を鍛えることで心を鍛えることができる、それが道場で行われていた生命強化法でした。肚を鍛えることで、ストレス解消も心を強くすることもリラックスも自由な心を作ることも積極的な心を作ることもできるのです。

 

また、沖導師の講義では「自他一如」という言葉がよく出てきます。これは仏性の説明のときであり、自分を愛するように相手を大切にする、社会を大切にするという人間愛とも言うのが仏性なのでしょう。大橋師も指圧のときには相手の気持ちを感じる、相手が望むところに手を持っていくこと、そして相手と一体になって施術することが自他一如だと言っています。強化法の目的も心身一如から自他一如へとつながることを目的としたヨガ行法でした。ですから大橋指圧も沖道ヨガ(沖導師が伝えたヨガ)もともに丹田仏性啓発行法(たんでんぶっしょうけいはつぎょうほう)と言ってもいいと思います。

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