肺の重さ

肺の重さと呼吸を考えます。次の姿勢で呼吸が変わることがわかりますか。普段の姿勢で体を起こしているときのように a胸が立っているとき、そして寝ているときはb横になっているとき、逆立ちのポーズのようにc逆位になっているときなどです。a~cどの位置が一番楽に呼吸できると思いますか。それはaの胸が直立に近い姿勢(立つ、座る)のときは吐く息は長く、吸う息は短くなります。しかしそのcの逆にするとき、たとえば下向きの犬のポーズやウサギのポーズ、肩立ち、スキのポーズのときその吐く・吸う時の長短は逆転して吐く息が短くなります。(すなわち吸うのは楽で長い、吐くのは短い)
日常的に喘息など気管支が細くなっている人は吐く息が苦痛となるので、このポーズを作ると、より一層つらくなるはずです。またそのような疾患のある人は発作が起きているとき起座呼吸といってbの横になっていられなく、座って息をすることになります。横になって寝られない日が続くということも聞きます。
この呼吸の違いをわかってもらうときはそれそれの位置で声を出してもらいます。長さと強さがまったく変わってくるのです。
肺の逆位について写真を参考にしてください。逆位のとき胸郭内の肺胞は重さで下に、すなわち喉の方向に垂れています。吸う行為は肺胞が持ち上がります。空間がある限り、圧力差(肋間筋、横隔膜の筋力)で膨らむので楽なはずです。吐く時は肺胞が重さで喉の方の下に垂れているのですぐつぶれて十分吐くことができない、つらい呼吸になります。
ヘーリングの模型

前にテレビの映像で熱気球が空中で爆発し空気が抜けて墜落する事故がありました。これを見ていて空気が抜けるから気球は下がる、肺の重さがあるから息が吐けることに気がつきました。それは人が脚で立つことによって吐くことが楽になり、吸う息も大きくなることでした。そしてその酸素に富んだ血液は一番酸素を必要とする大脳の発達に役立ち、ホモサピエンスまで進化したと思います。また、人が脚で立つことによって喉頭を下げて言葉の発生を生み出しますが、同時に誤飲という事故や肺炎になりやすい体質も作られました。また人は肛門括約筋も発達してこの筋肉だけで糞便の出すことをするために、紙を使って後始末をしなければなりません。他の動物は直腸を使って排出するのでいつもきれいなお尻です。