催眠法

催眠療法

 昭和63年の新聞記事を見つけました。「催眠療法」の新聞記事は黄ばんでいましたが、なんとか読めそうです。おもえばヨガを学び始めたころ「催眠入門」たる名称で2泊3日くらいの日程で学んだのが、立木寅雄先生の研修会でした。先生は催眠療法と催眠術は違う、れっきとした催眠療法は心理学であり治療法なのだと言っておられました。
 その研修会の内容は記事の中あるものが大半です。また実習も行いました。早い動作を繰り返し行うことで意識が変性化することも体験しました。テンションが上がって自我が無くなるのはロックコンサートのような早い動作をおこなうことで集団催眠に似ています。研修会ではテレビなどでよくやっている、脚にイスを置き、頭にもイスを置き、その上を人が乗るのです。変性意識の中ですから意識はありますが重いとか耐えるという感覚は一切ないのです。この時私は終わってから心の抑圧が外れたのか、ハイになって周りの人に誰彼となく話しかけたことを思い出します。今ではこのセミナーは私にとって大きな財産になっています。
 他にもこれと類するセミナーがありました。シャバアサナのセミナーも参加しました。シャバアサナはくつろぎのポーズですが本来は難しいものです。眠りに入れば変性意識が得られないし、単なる睡眠だけになります。(ASCとは催眠に入るときの変性意識のことです。新聞記事に詳しく書いてあります。)
 それではどうしたらいいのかといいますと、他者に対して依頼心になるのでなく、自力で心身をコントロールすることにつきます。ヨガのアサナはそういう意味で深いリラクセーションを得られASC、又はそれに近い状態になっているに違いありません。
 この新聞記事には座禅や瞑想がASCへの最終の目的であるとありますが、見よう見まねの座禅であっては野狐禅(やこぜん)となって独りよがりの妄想禅になります。瞑想も我流で行うと現実と妄想の区別がつかなくなり自分は神だと言い出すことがあります。大きな宗教組織(禅宗など)ではそれを防ぐシステムがあります。
 禅や瞑想、催眠について警告のようなことばかり述べましたが、変性意識の効果は大きいことは知ってもらいたいのです。正しく用心深くこの催眠療法に取り組んでもらいたいと思います。

記事の中の要点を抜き書きします。(この記事はs63年当時のものです。)
○催眠を病気の治療に役立てる
○力が抜けたのは催眠状態に入ったからであり、眠っているのはない。
○意識もあるし周りの音も聞こえる。うっとり心地よい状態になりストレスも取れる
○誰でもがすぐに催眠状態に入れるのではなく、治療と訓練が必要だ。
○意識はあるが心身がリラックスした状態をASC(=意識はあるがちょっと変わった状態)という。
○ヨガや座禅瞑想などは最終的にASCをめざしている。
○この状態に達すると自律神経のバランスがとれ、体の恒常性の保持が最大限に機能する。
○催眠状態になると批判や抵抗する力が弱まるので被暗示性が強くなる。
○ASCの状態になった人に潜在意識に働きかけることにより病気の原因であるストレスやこだわりを取り除くのが催眠療法の基本。
○催眠療法でASCへ導くのはむつかしい。
○民間で行っているケースがあるが注意が必要である。
○ASCに導くために心療内科医が指導しているのが「自律訓練法」である。
○自力でASCに到達する訓練を行うのが自律訓練法、他人からの暗示によって心身の緊張を取り除く方法が催眠療法。
○催眠法は持続性が乏しく他医療面での問題が起きることがある。