丹田力強化法(生命力強化法) —脳幹の強化—

定例研究会では学院の研究生の強化法を行いました。今日は札幌でも30度の気温と蒸し暑さでした。朝から私はテンションが上がり、普段使いのカメラではない古い眼レフカメラを持ち出しカメラにその風景を撮るつもりでしたが、研究会が始まるとすっかり忘れてしまいました。それで写真はなしです。
まず魚のポーズの強化法をいくつかやって、体に喝を入れます。sakananokyouka
きわめつけはここにはありませんが、魚のポーズをして足を持ってもらって、胸から起き上がる動きを5回行います。腰にかなり負担を強いますが、全員大丈夫でした。そして延々と1時間半行いました。クーラーをあえてつけていないので汗びっしょりです。本州並みの汗が出ました。いつもは男私一人ですが、最近はもうすぐ67歳の頼もしいメンバーがいますのでお互い老体に鞭打って、いや本当に鞭打って頑張りました。女性群も老いも若きもきつい楽しいと終わりました。強化法のご存知のない方は例えば下の絵のような動きを延々と続けていきます。
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ヨガはなぜそんなきついことをするのかというと、各個人の意識とは別に本来一人一人の体には自分の知らない生命力があるということで、眠っている力を引き出すためにこのような動きの練習をし改めて生命力を自覚する練習を生命力強化法と言っています。以下に生命力の姿を脳の模型を使って説明しました。

生命力とは・・・脳幹の強化とは・・・
 スポーツ、武道、ダンスなどの身体活動には無理無駄がなく、美しくしなやかで全身が一体となった動きです。それは腰、丹田から末端部に伝わっていく動きです。この基本の動きから外れたとき異常の原因となって故障を起こしやすくなります。昔からの言い伝えで心身一如と反対に姿勢が不安定になると大脳が緊張して、ストレスにもつながっていきます。座禅や瞑想は心身統一法として姿勢、呼吸を正すことによって、大脳が安定することを目的としています。ヨガの中にある丹田強化法は動きを通じて呼吸や集中力を身につけ大脳が安定する仏性力を開発するものです。
 丹田とはあらゆる姿勢、動作の中心点、中国ではで丹田、日本では肚と呼んでいます。インナーマッスルの深層筋を使った動きとは微妙に異なり、ものとしての存在ではないのです。総合的、段階的に訓練を積み重ねて身につくものです。すなわち丹田を養うとは人格の完成への基本となっているのです。
 あらゆる訓練法は基本を重視しています。それは基本という能力の基盤の幅を広くすることにより、能力の伸び方を底辺の幅に依存していくと考えます。強化法は能力開発の基盤を生命の進化に伴う脳の発達過程及び人間としての生後の発達過程に則した訓練法です。すなわち魚の動き、ヘビの動き、カエル、赤ちゃんハイハイなどは脳幹部を活性化し、そのままより高次の大脳皮質の発達を促すことになるのです。(脳幹部とは延髄、橋、中脳、間脳(視床下部・視床)脳下垂体)
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 強化法で魚の動きやカエルの動き、および呼吸法のクムバクは地球上の生物の大部分が魚類にあったころに発達した脳です。この訓練は脊髄や延髄の強化発達を促し、今生きていいることの基本的な働きや呼吸の強化安定に役立ちます。すなわち中脳以上の前頭葉の発達の土台になり、延髄の強化で幅が広いほど、より上位脳の発達に役立つことになります。
 橋(脳)は脊髄と延髄の上にあります。左右の小脳をつないでいます。この橋は最初の陸上動物(両生類)の時代に生まれた脳です。延髄に比べてはるか高レベルの感覚を支配しています。感覚だけでなく運動的に腹ばいになって動く能力を持っています。赤ちゃんの腹ばいの能力はその後の脳の発達に重要な役割を持っていることになります。我々成人にも這うという動作をするときも脳の強力な開発に役立っています。
 橋の上には中脳があり、爬虫類時代に発達した脳です。生存競争が厳しくなるにつれより複雑な動きや細かい感覚が必要になり発達しました。強化法で四つ這いで走る動きは私たちの中脳レベルの発達に役立ちます。
 脳の進化は今まであったところに次の脳が重なってより高度に発達していきました。すなわち哺乳類の脳は爬虫類の脳にかぶさった形で脳が形成されました。そして脳の奇形とよばれる大脳皮質が発達したヒトは様々な環境の中で直立歩行という能力を得ることで酸素供給量の増大と手を使うことから脳の機能を大きく変化させ、知能でもってあらゆる適応能力を身につけることになりました。
 脳の発達にもっとも効果的な刺激、訓練は最終的に大脳皮質レベルでの能力を伸ばすことが目的であってもまず、下部にある3つの下等レベル脳に立ち返りこれらの各部位に刺激(魚の動き、ヘビの動き、カエル、赤ちゃんハイハイ)を加えることが大切な点です。脳の下部を広げることが高度な脳の発達の可能性が高まることになります。