呼吸法の大事なところ

ヨガの中にいろいろな呼吸法があり、名前は別として息の出し入れが早いものや息を留めるもの、胸でする呼吸、腹でする呼吸、意識をある部分に持っていったり、動きをともなうものとたくさんあります。ポ-ズそのものが呼吸法であったりします。これらをすることでからだも気持ちも変わります。
haimokei
ただ大事なのはやればいいというのではなく、どんな気持ちでやるかということです。「落ち着いて」というのは当然です。それ以上に何か感じるものを探して欲しいのです。教室などでは私が言葉でアプロ-チ、ガイドしますが、「やる」ことよりも「感じること」の大切さを繰り返しています。イチロウの活躍も高感度の体のセンサ-によるところが大きいと言われています。感じる能力をますます身につけるためにヨガや呼吸法は不可欠です。

教室では私が仰向きになったりうつ伏せになったりしてからだ全体を見てもらいます。あんなふうに、こんなふうにと見てもらうのが一番イメ-ジが湧きやすいからです。そして私よりもっと上手に気持ち良くやって下さいと。。
そして自分の体で息を入れたときどこが膨らむだろうか、叉沈むだろうか(しぼむという感覚より重さで沈む感じがある)。身体中のいろいろなところで試してみます。 デモのときに見せるところは仰向きの時は腕の長短とうつ伏せの時は尻の動きです。

胸式は良くないと言われていますがでも私はあまり気にしないでやっています。腹でも胸でも、どちらでやっても肺にたくさん空気が入ってくるのです。やってはいけないのが首や肩でする呼吸です。そのような癖になっている人は首の不調を訴えています。やればやるほど首がちじむ呼吸なのです。仰向きになってリラックスしてからだが風船のようなイメ-ジを描いていると吸っているときに腕が体から離れていくように動き始めます。これはけっこう面白いものです。肩や胸の柔らかさでこのようになるのでしょう。顔に意識を置くと小さな感覚ですがやはり膨らんだり閉じたりしています。是非この感覚は身につけてほしいものです。

次にうつ伏せです。これは腹式呼吸を行ないます。当然、腹が床にぶつかっているので腰が大きく持ち上がります。そうするとお尻が持ち上がり、仙腸関節、肛門、会陰が膨らむのです。これも面白い感覚です。うまくやれば腿も膨らみます。考えてみれば横隔膜から始まる膜の動きは骨盤という骨を内側から包んでいる骨盤底筋に伝わりこれが膨らむと先程の現象になります。やってみると骨盤内臓器(直腸、泌尿器、生殖器、性器、肛門)のマッサージをしているような心地があります。

体にたくさん空気が入って来るための条件があります。力いっぱい吸っても首肩に力が入るだけで意味のないことです。まず腹腰(はら、こし)を柔らかくして横隔膜が動きやすくすることです。そうすると息を入れたときにその柔らかさで腹も腰も膨らみます。よく腹だけ突きだして腹式呼吸だといっている人がいますがこれは間違いで腰も膨らまなければなりません。本当にボ-ルなっているのです。

そしてあばらがよく動くのも条件です。呼吸をする筋は横隔膜80%、肋間筋他20%といわれています。やはり肋間筋のあるあばらが動くことも大事です。姿勢をよくするだけで呼吸は楽になりますし、また胸を手で叩いても呼吸が楽になります。咳がよく出る人はそのたびに胸の筋肉を固くするし、また姿勢の悪い人は胸や肩の筋肉が縮んでいるので固くなり息が十分に肺に入ってきません。胸を強く叩きすぎると胸が緊張して咳が出ます。でも軽く叩いて筋肉を柔らかくすると呼吸が楽になってきます。自分の指で胸のあばらの間をやさしく押しても痛(イタ)気持ちいい感じがあります。

このように呼吸法の大事なところはテクニックではなく、感じ方であったり、筋肉の柔らかさと気づきが重要であることがわかってもらえたと思います。布団の中でも電車の中でもどこでも出来るのがこの呼吸法です。