瞑想の効果とその方法

脳と瞑想について説明取扱書

瞑想の効果と方法

脳と瞑想について説明取扱書

見なれない図式ですが「マインドマップ」という表現で、一つのテーマから連想ゲーム式に考えを繰り出して考えをまとめる方式です。広くて深い瞑想の考えをまとめるために実験的にやってみました。内容の出典は受講セミナーや「最高の休息(久賀谷亮)」などです。

まず瞑想はただ気づくこと、その心に起きている様子を気づくことがマインドフルネスと定義しています。私たちの脳は自動運転するようになっています。それが日常生活をスムーズにする方法なのですが、脳が勝手に動くことは、とらわれたり、執着した考えで言葉や行動をすることがあります。怒ったり、悲しんだりします。ときには自動運転をやめて脳を休ませることも必要です。ここで行う瞑想は宗教的な要素は一切ありません。体を動かすことで体の機能が高まるのと同じように、瞑想は誰でもできるトレーニングで、練習することで脳の機能が高まることが特色です。瞑想はヨガの大切な標語にあり、調身・調心・調息(三密)で行うことです。ヨガでは三密でポーズを作りますが瞑想では背筋を伸ばして、ゆっくり呼吸ができる姿勢をとるだけです。そうすることで自律神経や内分泌のバランス、そして脳が活性化すると言われています。このことは最近の先端脳科学で脳の機能が解明され、わかってきました。

瞑想の効果を具体的に見ていきましょう。瞑想はヨガと同じくリラクセーションではありません(ヨガの初期の頃はリラクセーションの一種と思われていました。)。しかし今では、はっきりと脳機能を高める方法であることがわかってきました。瞑想は「仕事ができる」効果があります。仕事とは日常の家事も介護も、作業も含みます。仕事とは次の内容に分類されます。認知能力。これは意志決定や想像力のことです。そして集中力、記憶力です。これらの能力は普段自分では気が付かないものですがそれらが今よりも高まり目に見えて仕事がはかどることは誰でもうれしいことです。次に非認知能力も仕事には欠かせないものです。やる気、対人関係、そして集団で何かをするチーム力のことです。それらは当たり前の能力と言ってもいいのですが得意不得意で仕事に大きな差ができます。

認知能力について付け加えると、自己への気づきと他者への気づきがあります。自己への気づき・問題は自ら訂正・コントロールしていけばいいことです。他者への気づきについてはコントロールできません。時間をかけて分かってもらう、理解してもらうなど人間に対するマネージメントです。とても難しいですがここはしっかりと取り組む必要があります。

次に瞑想でありがたいのは目に見えてわかる身体能力向上です。瞑想をすることで疲れなくなった、体の調子がいいなど疲労やストレス状態の減少になっていきます。それではストレスとはどんなものか知る必要があり、誰にでもストレスは襲いかかってくるもので、そのストレスが襲いかかることをストレス刺激といいますがとても大事なことなので、あとに回したいと思います。

瞑想のやり方や分け方は多々あるのですが、あえて大きく別けると二つの方法があります。集中瞑想と観察瞑想です。これも大まかですが時には混じることもあります。集中瞑想はローソクを見つめたり、呼吸に意識をおく方法で、何かに集中して瞑想をしているときに他のことに意識がいったときにはほかの方へ意識がいったことに気が付いて、集中する対象に意識を戻します。絶えず戻すというやり方を続けます。初心者にやりやすい方法といわれています。

観察瞑想は集中することなく、頭に湧いてくる雑念、感覚、思考を止めないで、意識することを主とします。すなわち自分をいつも観察しているのです。雑念が出るのですがそれに流されないこと、気づくことに焦点を当てます。瞑想に失敗はない、日常生活の中でもできる内容です。拡散(雑念)する意識に気づくことは連想ゲーム的に流されやすく、この観察瞑想は上級者向きとされ、むつかしいだけあって創造力の開発や非認知機能すなわち対人関係をよくする能力などが高まると言われています。

先にストレス刺激の厄介さを予告しました。ここではそのことについて考えたいと思います。ストレスとはほっておくと心身・生活が破壊されてしまうほど厄介なものです。体への反応はご存知のように血圧上昇、疲労、血糖値の上昇、感染症、睡眠の低下、肩こり腰痛など誰にでも起きていることがストレスが原因になることがあるのです。心への反応はモヤモヤ、イライラなど四六時中、不安そのものになります。以上のように三大成人病(ガン、心筋梗塞、脳卒中)の原因と言えましょう。

ストレスへの対象は身体、精神的、社会的に対応します。身体は疲れや病気になります。また精神的には個人の不安や怒りになります。そして社会的にというと人間関係がおかしくなります。このストレス刺激は、脳の中で大きな変革を生じさせています。ストレスの中枢は視床下部と言われ、脳の脳幹部にあり、生命の維持装置と言われている自律神経や内分泌のアンバランスとなって身体・精神・社会的への変調をきたすのです。

次により具体的な瞑想の方法として「最高の休息法」から抜粋しました。七つの方法が状況を変えて瞑想を選択できます。

  1. マインドフルネス瞑想 脳が疲れている時にオススメ瞑想です。注意散漫、無気力、イライラなどは脳疲労のサイン。その方法は姿勢を正し、ゆっくり呼吸ができる姿勢をとるだけです。体の感覚に意識、呼吸に意識をおきます。そして雑念が出たら、意識を呼吸に戻します。雑念は出て当たり前なので自分を責めないことです。5分でも10分でも毎日続けることです。
  2. ムーブメント瞑想 いつも何考えごとをしていて注意力、集中力が低下している人に向いています。いつでもどこでもできるのが特色です。歩きながら、右足左足、左手右手と自分の動きを注意、意識、ラベリング(ラベルをはるように注意すること)します。私はナンバ歩きに興味があり右足出して、右肩下げるなど意識したり、肩下げて腹、締まるなどしているのですが、これが瞑想につながるとは思ってもいませんでした。これをしていると体のくせに気がつくことが多いのです。例えば階段をいつも左足から登り始めるとかだらだら歩きがなくなったとか・・・。またヨガアサナをしている時も無意識に動作をしないで動きを言葉にしていくとムービング瞑想になります。また食事でも使えます。ダイエットにうってつけだと思います。無意識に口に食べものを運ばないで、30回かむ、はしを手から離す、30回かんだら、はしを取り次の食べものへと移ります。過食を防げること間違いありません。どんな動作や思いもラベリングするのです。今こんなことをしている、ヨガのポーズも歩くことも食事もどんなことでもラベリングするとそれは瞑想になり、脳の休息になり、体の休息になるのです。
  3. ブリージングスペース ストレスからくる体調不良の時、肩こりや腹痛など身体影響がある時に「脳」から改善していく方法です。まず姿勢です。そして呼吸に意識し数を数える。10まで行ってまた1に戻る。数回行い、次に体全体で呼吸しているイメージを持ちます。息を吸う時ときに癒しのエネルギーが入り、目的の身体部位に送り込むイメージです。不要なものを吐く息で行います。呼吸につれてそこがほぐれていく感じを持ちます。
  4. モンキーマインド解消法 悩んでいるとき、怒り狂っていいるとき、脳に繰り返し現れる「思考のサル」を黙らせる方法です。こんなとき脳も体も疲労が蓄積され、睡眠の質も低下します。雑念に対してあるべき姿を考えます。そして善悪などで判断することをやめます。今この瞬間はどうなのか、今を大切にします。そして思い出したときに「さよなら」とそのことを思い出さないように別れを自分に告げます。モンキーマインドは電車の中にサルが暴れまくっている状態です。サルと一緒に騒がなくてもいいはずです。次から次へ来る電車を遠くから傍観する態度になります。客観的に第三者的に眺めればいいのです。
  5. RAIN 衝動に流されそうなときにRAINという処方が役に立ちます。理性が感情に負けそうなときです。前頭葉が理性で偏桃体が感情になります。瞑想を続けると両者のバランスが取れてきます。怒りや衝動を感じたときにこのRAINの4ステップでコントロールします。1.衝動を認識する。Recognize  2.価値評価を加えないで現実を受け入れる。Accept  3.体のどこに変化しているか観察する。緊張しているところ、心拍数、など。Investigate   4.その感情、衝動を他人事のようにとらえる。前頭葉優勢にする。RAINの手法はダイエットや禁煙などマイナスの癖に使えますのでチャレンジしてください。

(追加)思いやりの瞑想 この瞑想はマイナス感情の抑制になります。これは人間関係でストレスを感じている時は相手を変えることはできませんので自分自身が穏やかな気持ちになることでストレス度合いを少なくして行きます。ひょっとしたら自分を変えることで相手の対応が変わることもあるのです。それでは相手のことを思い出しながら次のフレーズを唱えます。「慈悲の瞑想」とも言われています。1.〇〇が幸せで安らかでありますように。2.〇〇が健康でありますように。この〇〇に私、あなた、私が嫌いな人、私を嫌っている人、を入れて3回繰り返します。

  1. ボディスキャン この瞑想は姿勢を正してゆっくり呼吸に意識をおきます。意識を何かにおくことがマインドフルネスでした。そして呼吸は意識を「今」につなげておく錨(イカリ)です。辛い痛みや皮膚疾患でかゆみのあるとき、ホルモンのアンバランスによるホットフラッシュなどの時に効果的です。まず体を頭のてっぺんから足の方へスキャン(意識の中で体が床につているところなどを観察して行きます。)します。そして呼吸が吸うたびに右足に癒しのエネルギーとして蓄積され、吐く息で障害が放出されていくのを観察します。数回行ってから左の足にも行ないます。そして対象部分の観察を行います。

最後に瞑想は「とらわれないための方法」として、座禅や茶道、華道など「一期一会」の文化を育てました。それらはすべて意識的に行動することとして、どこででも心の休息、脳の休息ができるシステムだったのです。私たちも今、脳の休息を試みて、ストレスの少ない生活を得るために「ただ気づく」ことをやってみましょう。この気づくことが「マインドフルネス」の語源なのです。「思い」に気づくだけでなく、脳が反応する、すべてのもに「気づく」ことができればいつでもどこでも「マインドフルネス」が得られます。わたしたちは他の生物と同じように、脳にインプットされる刺激によって行動に向かうのですから、ヒトであるわたしたちは「色・声・香・味・触」に意識を置くと気づきが深くなります。この「色・声・香・味・触」は般若心経の中の一節です。色(シキ)とは形のこと、声(ショウ)は音のこと、香はにおいのこと、味は味覚のこと、触(ソク)は今、自分の体に接触して感じるすべてのことです。皮膚に触れている衣服の感触、口の中の舌のホームポジションは上の歯の付け根です。これらにも意識を置くと歯を食いしばったりしなくてすみます。そして体に対しての重さも触の分野です。立っているときは足、座っている時は尻がそうです。以上のような「気づき」の対象を時々思い出して気楽な瞑想、マインドフルネスを心がけ、脳を休ませて脳からの健康を保って行きたいと思います。

‘17.6.9(追加’23.1.27訂正)

水野ヨガ学院・水野健二