私が初めてガイアシンフォニーに触れたのは‘94年1月北海道沖ヨガ連合会主催で札幌市教育文化会館で上映されたときです。連合会は’78年に北海道内で沖ヨガ修道場入門者たちが集まって、沖正弘導師の講演や合宿研修を開催し、より一層、沖ヨガを学ぶために集まって作った団体です。
初めての上映の時、私は当時、事務局長として監督の弟龍村修(当時旧沖ヨガ修道場道場長)から兄がこういう映画を作ったので連合会で上映しないかと提案されのがきっかけでした。おそらく北海道では初めての上映会でした。
そして翌年、’95年1月連合会新年交流会に龍村仁監督をお迎えして講演会を催しました。「ガイアシンフォニー」という題名は当時はこの名称だけで、続編が続いてから「・・第2番、・・」と続き、最新作8番まであります。
監督の講演会ではガイアシンフォニーの映画制作の説明がありました。監督はその時の状況を説明する場面になると、出演者への感謝で涙を流したり、感極まって絶句の状態が続く講演でした。そのドラマチックな「ガイア」の制作の一端を思い出しながら以下に記述してみました。
まず野澤重雄さんが作った水耕栽培のトマトが映画全体の流れを「種」から成長してとてつもない生命(画面いっぱいの真っ赤なトマト)を私たちに見せてくれます。場面はこのトマトの種が映し出されました。そしてトマトの種は能力に差を作らない、どの種の能力でも、十分な空間と栄養と生きることに対する安心が得られれば限りなく成長するということを映画の中で実証してくれました。
また監督は講演の中で感謝と祈りが離れた場所からでも伝わり実現するものだと教えてくれました。それは私たちが映画の中で見る真っ赤なトマトは次の日にかなりのトマトが枝から耐えきれなくて落ちたということです。監督がシュエワイカートの撮影でイタリアにいて、手が離せない、そんなときに野澤博士がトマトが落ちそうだから早くカメラを回して欲しいと何度も電話があったそうです。遠い国から日本に向かって毎日祈っていたと言います。そしてやっと撮影完了。それが私たちが見た真っ赤なトマトなのですが、その夜、野澤博士から電話があり、研究所で大変なことが起きている。それで行って見るとトマトがほとんど落ちていたとのこと、このあたりの話は監督の涙、涙で話が続かないほどでした。
ナイロビ国立公園で孤児の象を預かり、育てまた野生に返す動物孤児院を運営しているダフニーシェルドリック。彼女は象が当時象牙として密猟者がアフリカにはびこり、多くの仔象の孤児がいるのを知って孤児院を作り世話をしていました。人間が仔象を自然に返すということは並大抵のことではありません。初めてダフニがエレナを仔象から育てたため、大きくなったエレナは他の仔象を手助けしました。普通はヒトに手をかけられると野生に戻ることは難しいのですが、エレナのおかげで野生に多くの像を戻すことがでました。象はとても賢く人間の思いを全部知っていると言います。
ダフニーはエレナと相談しながら今も野生にもどすことをしています。四国くらいの大きな保護区に自由に暮らしているエレナには会えないと監督は諦めていたそうですが、あり地点でダフニーがエレナ呼びかけ、しばらくすると、かん木の中から大きな象、エレナが現れる場面は圧巻でした。ダフニーにはエレナが来ることがわかっていたのでしょう。ここでも監督は私たち以上に感動していました。
他にも、無酸素でエベレストに単独登頂したラインホルトメスナ、氷河の上を過酷な状況で裸足でトレーニングして努力はするがしかし人間の能力を超える何かあることを説明していました。そして歌手のエンヤ、ケルト民族学研究者鶴岡真弓、初めて宇宙遊泳をしたラッセルシュワイカートなど多彩など出演者です。
感動する場面沢山がありました。是非、各地でガイアシンフォニーの上映されているところがありますので、鑑賞してください。見る機会がなければご自分で鑑賞会を企画して見たらいかがでしょうか。本来、ガイアシンフォニーの名の通り、「多様なものが多様なままに生きていくのが生命である」であれば、一人一人が主人公で、活動をしていくものと説明しています。監督は初めは映画館でこの映画を上映しようとしたが営業的に集客できないと配給先で断られ、1年以上倉庫に眠っていた。それをたまたま見せて欲しいと言われて、そして初めの一回が個人個人に伝わり、爆発的に全国に広がり、2番、3番・・とつながっていたのだと言います。
そのようないきさつで、水野ヨガ学院30周年記念行事はちゅうちょなく、「ガイア」に決めました。会場は札幌時計台ですが、もっと大きな会場もと考えましたが、この界隈で30年間、札幌時計台の鐘の音を合図にレッスンが始まりそして終わる毎日だったので、感謝を込めて「札幌時計台」の会場をお借りしました。そしてこの入場チケットの収益金は札幌市豊平区で慈善事業を運営している「にじ色こども食堂」へ寄付します。
この映画はメッセージ性の高い映画です。「地球の中の私、私の中の地球」。もし、母なる星地球(ガイア)が本当に生きている一つの生命体である、とするなら、我々人類は、その“心”、すなわち“想像力”を担っている存在なのかもしれません。我々人類は、その“想像力”に寄って科学技術を生み出し、地球の環境を大きく変えてきました。現代の地球の環境問題は、良い意味でも、悪い意味でも、人類の“想像力”の産物だ、と言えるのです。だとすれば、危機が叫ばれるこの地球(ガイア)の未来も又、人類の“想像力”すなわち“心”の在り方に依って決まって来るのではないでしょうか。・・(ガイアシンフォニーの解説から)