頭の重さ・体の重さ

クラス授業では、初めにいろいろな呼吸法を行い、それから手や足を刺激して気の巡りを良くしそして体全体を整える動き(連動性)を行います。そして前屈系(長座、開脚、安定、合蹠)などを行います。この前屈系の動きをすると背中を楽になり、これから続く動きが楽になるために行っているのですが、受講生は背中を丸くしたり頭を下げて動作をしています。そこで、頭を下げないように言葉をそえています。癖であることはわかるのですが、この頭を下げる動作こそ背中や腰を緊張させるのです。
その説明として、頭の重さはどのくらいあるかご存じですかと尋ねます。体重の10%、約5kgくらいあるのです。実感がわかないのでお米5kというと、重いというのがわかるのですが、それでも自分の頭の重さと結びつきません。それで写真のように頭が重いということを実感してもらうと納得してくれます。しかし納得はするのですが改善するかは別のようです。また、頭を下げてしまいます。癖なのでしょうか。
  
この癖は思いの癖でもあります。それには動きの思いを強くしないことです。体を下げることは直感的に目を下に下げます。目にしても耳にしても「見・え・る」、「聞・こ・え・る」状態がリラックスしているのですが、普段は「聞いたり見たり」することが多いため緊張して目や耳を使います。パソコンの画面を見いるように見つめると、目だけでなく体にも緊張を作るようにです。
前屈系のときは周りが「見・え・る」ようにして目を緩め、頭を上げて、「倒す」思いを少なく、受身で体そのもの重さで倒れていくのがいいのです。頭を下げると背中の硬さで倒れる動きにブレーキがかかるのはやってみたらわかることです。5kの頭が肩からぶら下がると背中の周りの筋肉(僧帽筋など)が緊張するのです。頭を背骨としてまっすぐにしたり、あごを引く動作をすると背骨の周りの強い筋肉(起立筋)で支えるから背中の筋肉の負担が無くなり、ノー・ブレーキで倒れていきます。
このことは前屈系だけではありません。体の動きを作るときは筋肉に悲鳴、緊張を作るとブレキーがかかったり、損傷したりします。動きは心優しく丁寧に、心と体を結びつけることが大切なことです。筋肉が癒され、脳がリラックスの方向に行くことでしょう。(書き直し10/26)