体との対話
マタニティヨガのクラスでは「赤ちゃんとお話をしてください」とお母さんに言う。初めての人は怪訝な顔をする。終わってから「赤ちゃん、何か言ってましたか」と聞くと「別に。。」と当然のような答え。お腹の赤ちゃんが話すわけないだろうといった感じ。そりゃ確かにそうだ。
でも、赤ちゃんに話しかける態度が大切で、反応が無くても、お母さんは何かを感じているはずで、気持ちいいといっていたとか、ちょっと痛かったとか、そんなことを聞きたかった。そして、「ごめんね、痛くないように動かすからね」などとそれこそ会話である。会話、対話を通して赤ちゃんとの結びつきが良くなるし、お母さんももう一人じゃないんだ、赤ちゃんとの関係がどんどん良くなっていくと思う。分かり合えた満足感というような安心感が生まれる。ヨガのポーズも気持ちよくつれるといった具合だ。

普通の人がポーズをつくるときも同じことが言える。「体とお話してください」「体に気持ちよさを教えてもらってください」と問いかけるとぐっと負担は軽くなる。動きで思い通りにならないとき、力ずくで関節をまげようとする。力が無いから動かないのだと言わんばかり悲鳴を上げていることがある。ゆるめればいいのに、それに気がつかない。
こんなとき、先ほどの体と対話することだ。痛み、苦しさは消えないけど、自分から話しかけると、ずいぶん楽になる。別にそこの部分が話しかけるわけでないが、こうしてみようとか、ああしてみようとかの啓示が与えられるみたいだ。それは次への可能性が現れてくる。全能を使って話しかけてみよう。恋人と話が行き詰ったときのように、どうしたら相手の心をこちらに振り向いてくれるか、その熱意が可能性となって表れる。われを信じて話しかけよう。
言葉は伝達だけでなく、自らの気持ちを変える道具でもある。

(2004-10-25)


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