ヨガのポーズが力ずくのストレッチと違うところは自然の力を使うところである。すなわち重さという重力、呼吸という膨らむ閉じるときの力、そしてイメージを使った力を自然の力という。
この三つを使うと楽に体が動く。内部的には丹田という中心が存在していてそこからその枝葉が揺れ動くという模式だ。自由になればなるほど楽に動き柔らかくなっていく。
それでは正座をしてから尻を右へ落として横座りをする。そして手を頭の後ろで組んで肘を張って左へ倒す、曲げる。右脇がストレッチされる。力入れたり、我慢したりするとそれはストレッチ体操になる。
脇が縮んでいると確かに痛い。縮んでいるから痛いものでこれは痛いものなのである。しっかり痛いと覚悟してこれを緩めていく。おびえる必要はない。ただ痛いだけなのだから。むしろこの痛いすじがピーンと張っていて、ここのところが切れて離れていくとなんとも気持ちのいい感覚になるだろうなといったことを想像してもらったほうが緊張でがまんしているより始末がよい。
しばらく伸ばしたままにしておくと、規則的な動きがあることに気がつく。気がつかなければそれは緊張している。息を吸ったときに胸が膨らんで持ち上がる。吐くと沈む。これをくり返して楽しむ。なにしろ変化することは楽しいことなのだ。
次にすることは肘の先端に思いをはせ、まるで重りの先のように下に落ちていく感覚を思い出す。私たちの体にはあらゆるところに重さが働いている。それに気がついているかいないかだけだ。まぶただってあごだって眠くて力が抜けると閉じるようになっている。皮膚のたるみでほっぺも胸も尻もあるときが来れば垂れる。
肘の重さを意識しだすと本当の重く感じ始め、それこそ落ちる感覚になる。高いところから身を乗り出すとき感じる「落ちる」という感覚だ。このとき右脇は重りを支えるヒモみたいなものだ。ここでも膨らんでしぼんでを楽しんでいるとそれこそ無限に変わっていくような気がする。このヒモはしっかりと丹田に結わえられて必要な分だけ伸びていく。
(2003-12-8)