若い人がヨガに興味を持ち始めたようだ。特に女性であり、スポーツをしている人たちだ。柔らかい人もいるが中には硬い人もいる。どちらの人たちも力ずくといった傾向が見られる。でもすぐに慣れて力を抜くことを覚えてしまうのはすばらしい。
多くの人たちがヨガに興味をもってもらえることはうれしい。始めにしっかりとした基本を学んでもらいたい。どうしてブームなったのかということも踏まえてヨガに接してもらうとより奥行きが深まるだろう。
いろいろなブームは欧米社会が源流であるようだ。
豊かゆえに、いつの間にかそこの人たちは過食や運動不足などで文明病に冒されていった。それはたとえば二十年位前の心臓病など血管機能障害であった。
豊かな社会を作った人たちはきわめて合理的な考えを持っている人たちである。良いと思われることは即、実践する人たちである。彼らは病院などで行われる退屈なリハビリテーションと楽しいダンスを結びつけて、エアロビクスダンスを開発した。
爆発的にブームになった。初期のものは今のとは少し違うらしいがとにかく全世界に普及したのだ。それは現在に至り、運動不足による生活習慣病に大きく貢献している。
彼らは、現在の自分たちがおかれている不都合さを解決する能力は断トツの才能を持っている。それでは最近のヨガの人気はどうなのであろうか。
ますます高度に発達した社会は同時にストレスを生みだした。豊かであるが、そこは競争社会である。自分の体の要求よりも組織の要求を優先し、また他人にも同じように要求する。自分が悲鳴を上げると同時に相手が悲鳴を上げることを当然のようにして生活している。ストレスに対して強いものが勝ち残る世界である。これも自然の掟なのだろうか。
ストレスの問題は薬でも運動でも解決できない。生命の根源ともいえる脳幹の問題である。より良く生きるが「大脳新皮質」であれば生きるく中枢が「脳幹」になる。この脳幹は自律神経をコントロールしホルモンのバランスをはかり、免疫機能をつかさどっている。自分の心身に関心の高い人たちは東洋の英知に目を向けた。その脳幹をたくましくする方法が禅やヨガであることを見つけたのだ。
禅もヨガも心のあり方を非常に大切にしている。禅は仏教の一つのジャンルであり、生活のあらゆる場面でめい想を要求している。ヨガも体操はするが動きというより、それは静的である。動きがめい想であり、呼吸法だ。同時に考え方も自然を尊ぶ。自然保護という意味でなく、ありのままに、感謝し懺悔し、いつもへりくだって下座の心を持つことである。
これらの自然性は脳幹を強くし、美容にも老化にも大いに役立つことになった。このように才能ある人々ははしっかりと瞑想をし呼吸法を行ない、ポーズを行なって、ストレスと共存する方法を見つけた。
合理性のある本質をつかんだ人々から伝えられたブームは日本に伝わると大きく変質する。禅もヨガも東洋で生まれたにもかかわらず、その場限りのファッションにしてしまう。これも日本人にいいとこどりとしての能力なのだろう。
こういった機会にヨガの本質を学んでほしい。一人ひとりが幸せになる方法がこの中にあることを信じる。
私の師曰く、「病気から回復するためには、資格が必要である。だれでもが薬さえ飲めば治る次元ではない。治るために努力せよ」と。
(2003-10-03)