開脚のポーズのアプローチ
ある勉強会の風景です
○ ネコのポーズで背骨と骨盤の動きの観察(四つん這いになる)
骨盤は股関節で回転し、そして胸椎、頚椎の背骨は肩の高さで(頚椎7番で)やはり回転をする。ちょうどシーソーのような意識をする。当然、息を吐いて反り、吸って背中を天井へつくように丸くする。
(腕を伸ばした)伸びネコのポーズも腰が緩んで反りかえっている状態、すなわち顔を天井に尾骨を突き出して反っているネコ、をそっくりそのままにして腕を伸ばす方法だ。両者とも腰が伸びて骨盤上部が前傾している。
○ 開脚の体勢をつくる。
骨盤が立ち、前傾できる体勢である。
○ 床の上で出来ない人はいすを使う。
3つのイスを使い、3点で支えている事実を確認する。すなわち両かかとと座骨である。もう少し詳しく言うと坐骨2ヶ所のかかと2つの4箇所で支える。
足の位置を低くしたほうがいいので、椅子よりも低いテーブルに足を置いて行なう。こうすると骨盤が後屈しない。
○ 開脚の体勢。
このとき骨の床についているところを意識する。踵の骨、お尻の骨である。お尻の骨にもう少し目を向けると、ここには尾骨、座骨、恥骨がある。座るときはこの座骨の頂点で座る。イスに座っている人の座骨を上からみると床に開いたハの字である。しっかりとまっすぐ座るときは床に開いたハの字を体重でもっと開くようになる。
会陰のストレッチの状態になる。
骨盤の後屈は尾骨が床の方へ、前屈は恥骨が床の方へ近づくことになる。
ここでも坐骨を中心に骨盤を転がす。胸椎より上は出来るだけ動かさない。すなわちネコのポーズのように腰を緩める動きをしている。
○ 脚が痛いのは。
足を開きすぎたり、痛みをつくり過ぎたりすると、腰が緊張して丸くなり尾骨近くのお尻で座ることになる。これでは背は丸くなって背筋が伸びないし、ゆるまない。ゆるまないからなお痛くなる。痛いという感覚は脳でするのであって当然、体全体の縮むという反応になる。
背筋が伸びるとは、脊柱起立筋が緊張することで背骨だけで支えることになる。背中の筋肉を使わなくてもいいから肩腰の緊張がない。背筋が伸びるように座ると脚は痛くない。
○ 骨盤底部の筋肉について
動きの中で伸びや縮みを知覚されるのは筋肉であるが、筋肉を意識したりコントロールすると軽くて楽な動きができなくなる。開脚のポーズも同様である。
骨が主体であり、あとは緩んでいる存在として、骨が自由自在になる。動きはここから始まる。ある部位の筋肉が縮まっているのは、その他の部位が緊張しているからであり、ある部位だけを痛いからといって緩めて痛みを取ることは不可能である。
からだ全体が緩むことによって目的部位もゆるむ。(脊柱起立筋を除いて)
○ 自分の体を置物のように座る。
すなわち骨格を座骨を支点にして座る。骨盤、仙骨は床に直角になると背骨が伸びてきれいである。そのとき背中も、胸もゆるんで背骨の緊張だけで胸周りの筋肉も内臓も背骨にぶら下がっている。
底部にある座骨は重さでつぶれ広がり感が表れてくる。会陰部のゆるみであろう。いつもは痛くて縮めている腿裏付け根がゆるんで伸びを感じる。時間をかけ、20分の間、腰盤寛骨を右へも動かし左へ動かし、前に倒し、転がし、左右にねじりを加えて股関節、腰椎周りをゆるめる。時には骨盤の動きをとめて胸郭を前後に動かすこともする。手を上に上げろっ骨を挙げて引っ張ったりもする。
○ 開脚前屈は床に接している部分を座骨から恥骨へ移動する動作だ。
恥骨は二つの坐骨が合わさったところで、ハの字の先細りの頂点が恥骨になる。
恥骨と座骨の角度は90度であるから、恥骨がべったり床につくとき座骨は後ろを向いている。しかし無理に前へ倒す必要はない。小さな動きによる可能性、柔軟性だけで十分だ。
この開脚の時間20分くらいかけて遊ぶ。
○ おわってからくつろぎのポーズ。
15分間。伸びたところがこのポーズでふたたび縮み、委縮を感じ、それから又緩みを作っていく。意識の中ではわからないがくつろぎのポーズはこのプロセスを経ていくのだろう。
○ 感想を聞く。
Hさんは寝違いで背中が苦しく、息もつらかったが痛みが消えたという。
Nさんは息が楽になり、背筋が伸びた。
Mさんは今までで最高の開脚であったという評価であった。すなわちきついことをしないで時間をかけて骨の存在を確認することで筋肉のゆるみを誘導する方法で開脚が気持ち良くできた。
いつもより終ってから話題が豊富であった。
ただ痛みを消すために骨の角度を調節する座布団かイスとテーブルが必要であった。強度の後屈の人は座布団よりイスの方がよいようである。
開脚のポーズをつくるとき、悲鳴をあげるようなきついストレッチを30分かけるか、お風呂に30分入ってのんびりしてからするときと、どちらがポーズを作りやすいでしょうね。そんなことを生徒さんに説明しました。
(01/07/23)
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