ようやく北海道も暑くなってきた。この暑さも本州と比べて数週間しか続かないが、度を越した暑さには体にこたえる。
レッスンをしていて不思議なことがある。
始めの30分くらいは汗がたらたら出る。体を動かしていなくても汗が出る。話をするだけで、目に入るくらい汗が出る。ヨガの授業も「始めちょろちょろ、中ぱっぱ..」だからちょろちょろ動かしていても大量の汗が吹き出てくる。本州の人は当たり前のことだが。。
ところで当学院ではク−ラ−を使っていない。空調完備のある高い家賃のビルなのだがあえて使わない。しかし着替えの前後は時々使う。汗で着替えがしにくいからだ。
30分くらいたつと窓からの一筋の柔らかい風を感じ始め、急に汗が引き始め涼しくなってくる。これは朝も昼も夜も同じ時間に風が吹いたり、気温が下がるとは考えられない。いつも心地よい風が吹いているのが自覚できないだけだったのかと気がついた。
レッスンの始めは話しや動きの組み立てで、緊張していないように見えても頭の中はぐるぐる思考が回っている。そしてやる気満々も伴って自律神経の交感神経が働いている。この神経は闘争又は逃避のときに体を守るために働く神経で、血液量を減らし、筋肉を絞め、血糖値を上げる働きをする。いわゆる緊張状態をつくっているので汗が異常なほどに出る。自分では緊張していると気がつかないしまたこれをすぐにはコントロ−ルできないのが未熟なところだ。
ヨガのレッスンを始めると呼吸が深くなり、心身のくつろぎが進む。体に意識を置いたりストレッチをし、そこからその筋肉をもう一歩すすめてゆるみを促してリラックスへとどんどん導く。汗が出なくなり風を感じるのは、丁度このころだ。副交感神経が働き始めるのだろう。血糖値が下がり、筋肉がゆるみ、血液が大量に流れ始める。リラックスすると涼しくもなるのだとわかった。ここで思い出すのは「心頭滅却すれば火もまた涼しい」と言って織田軍勢の火中に身を投げた甲斐のお坊さんのことを思いだす。受け入れることでリラックスを促し、五感をもコントロ−ルするのだ。
ところでヨガをやったら誰でも涼しくなるかというとこれは当てはまらない。要はリラックスしているかということだ。「涼しい顔をして飄々とうそをつく」なんていうのも腹が出来ている人なのだろう。またそんなに暑くもないのに一人で顔真っ赤にして汗をたらたら出している人は無自覚に興奮しているのだろう。糖尿病の予備軍のように体に悪そうだ。
自律神経は意志ではコントロ−ルできないが練習でできるようになる。自律訓練法といわれるものだが、その訓練法は禅からヒントを得ているそうだ。それなら禅の発祥であるヨガをすることでもっと効果的なリラクセーションを得ることができる。坐ることの不得手な現代人にとってヨガアサナというポ−ズで「今に生きる、ここに生きる。ありのまま、ただ受け入れる、...そして精いっぱい努力する」で、体がもっている自然回復力を促されるのだ。この理性を越えた辺が極意なのだ。頭で理解できないことは体で理解すべきだ。暑いときでも涼しく過ごすことができる。
北海道はもう少し暑い日が続いてもいいのだが。。
(2002-08-07)