自転車漕ぎで腰肩を柔らかくする


ワ−ルドカップのサッカ−選手のウォ−ミングアップの練習風景をテレビで見た。そこでは昔懐かしい、美容体操風の自転車こぎをやっていた。
すなわちヨガで言う肩立ちのポーズを作って足を交互に自転車を漕ぐ体操だ。ここで思い出すのは30年以上前であろうかアフタヌーンショー、桂小金次、美容体操、網タイツのレオタード、小桜葉子、加山雄三の母などと連想ゲームを始めて遠い昔を思い出した。

あの自転車漕ぎの動きは股関節を緩めるのに最高の動きである。それは体が逆転しているため関節に重さの負荷がかからないので筋肉は自由に動くからだ。
筋肉は緩めることで収縮力と感知力、運動能力が発揮される。筋肉の本来の役割は収縮してパワーを出すことだが縮んでしまっていては力の出しようがない。それで運動選手はストレッチや筋肉を柔らかくすることにエネルギーを注ぐ。緩むことでトーヌス(緊張)が下がり敏感になる。当然、怪我の防止にもなる。
股関節が緩むことでそれにつながる尻まわりの筋肉、腰の筋肉が緩むことになる。座ったり立ったりしている姿勢で下半身の緩みを期待しても体重という重さで緊張は抜けないものである。それを足を空中に持っていって股関節を動かすというのはなかなか巧妙な方法だ。

ストレスケアという治療室でマンツーマンで施術を行なっている。そこで肩こりがひどい人の足を動かしてみると股関節の緊張が抜けていない人が多い。肩こりの人は腰の筋肉も固い。それで股関節の動きを良くするようにすると腰も柔らかくなり、そして肩が柔らかくなる。肩が凝るからといって肩周りばかり調節しても良くならず、腰を緩めるとそこから肩が動き始めるのが良くわかる。その腰が又、股関節とつながっているのだ。

人が立つ、歩き、走るといった動きの中で原動力は大殿筋、すなわちお尻の筋肉だ。スポーツ選手のお尻は逞しい、柔らかくて引き締まっている。筋肉トレーニングの結果であろうがその機能性を保つには股関節の動きを良くすることだ。

肩立ちの自転車漕ぎのようなアクロバティックなポーズができない人はどうするか。それは股関節を楽に動かせる体操を探したらどうか。例えば足を投げ出して片足ずつ足を尻にひきつけて伸ばすという方法もある。なんの負荷もなくつまらないけど、緩める動作というのはそういうものだ。四つん這いになって膝を支点に足先を動かすといったのもいいと思う。

自転車漕ぎが美容体操に応用されたのは美しいウエストとヒップアップの目的であった。それが肩こり腰痛解消、そしてスポーツ選手の能力開発にまで発展していった。網タイツで肩立ちのポーズを紹介していたその小桜葉子さんはヨガの先駆者であったような気がする。
(2002-06-05)

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