できそこないの男たち

穏やかでないタイトルです。福岡伸一著。彼は生命科学教授。男たちを非難しているわけではありません。なるほどと納得するばかり。生命の遺伝子がそのようになっていると説明しています。アリマキという虫は花や茎から栄養を取り、そして娘を産む、その娘はまた娘を産むという連続した営みだそうです。ところが季節が冬になると息子を産んで種の保存を図るといいます。娘から娘は同じ遺伝子です。地異転変には種の存続が弱いから男を産んで違う遺伝子を作るそうです。ようするに自分の種を残すために男を利用するのです。なるほど今は大企業でも昔は同族会社で、そこに異種の遺伝子を入れ続けて不況に強い組織になったのかと思います。生命の基本仕様(デフォルト)は女だそうです。染色体のXY(男)を選んだDNAはXX(女)の構造を少しずつ変えて男になります。当然生殖ーDNAの話です。作り変えることをカスタマイズといいますが命の都合のいいように男を作り変えているのです。デフォルトをカスタマイズしたのが男です。XYを作っている途中で失敗もあるそうです。それがニューハーフ。犯罪の裏に女ありというのも生命がさせているのです。主導権を握っているのは生物界を観ても、また世の女性群を見てもなるほどと思います。

生命とは何?という問いかけに「生命とは物でなくプロセス。自分自身を作っていく過程である」と偉い研究者が述べています。自分自身を作り続けていくのは細胞だがこの細胞を作ったのは生命というシステム自身だといいます。システムが自分を作り、増殖し、成長する、自己再生を行うのは全ての命が持っています。当たり前のように生物界では雌雄が対のように見えるがマクロの世界で見ると存続のためにシステムが雌♀女を作り、必要に応じて雄♂男を作ったのは億年という時間と必要な環境の下で生き延びるためのプロセスそのものがつくって行ったと言えましょう。